マネーボイス メニュー

米雇用統計発表、今夜も混乱必至? 予想外の失業率悪化ならドル円相場急落へ=ゆきママ

明日7月3日は米国の独立記念日で祝日なことから、6月分の雇用統計は本日発表の変則週となっています。それでは、今日の見どころやトレード戦略について解説していきたいと思います。(FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

雇用統計をめぐる混乱と懸念

前回の5月分の雇用統計発表後に、実際の失業率はもっと高いというセンセーショナルな報道がなされたことで、相場が大きく巻き戻される場面もありました。このことから今回も波乱要因になる可能性は十分ですから、警戒しておきましょう。

そもそもとしては、雇用統計を発表している労働統計局が事前にアナウンスしており、本質的には驚くべき内容ではなかったのですが、知らなかった投資家も多かったためサプライズになったという経緯があります。

そして、マーケットにやや驚きを持って受け止めらた報道の中身はというと、実は“レイオフ(一時解雇)による失業”とすべき労働者を、“その他の理由(理由不明)による一時的な休業(雇用)”に分類してしまった可能性があり、失業率は正確ではないというもの。

労働統計局によると、“その他の理由(雇用)”に分類された人々すべてが失業者とカウントされるわけではないものの、仮にこれらの人々すべてを失業者と仮定して計算すると、4月分の失業率は14.7%から19.5%に悪化し、5月分は13.3%から16.4%に悪化するとのことでした。

ちなみに、どうしてこんな混乱が起こったかというと、コロナ騒動による未曾有の雇用市場の悪化によって調査官が不足し、不慣れな人間が調査にあたったこと。

さらに雇用を維持することで受け取れるPPP(給与保障プログラム)や、普通なら失業保険の対象にならない人も受け取れるPUA(パンデミック失業支援)によって、企業も雇用者も解雇を巡る扱いについて相当混乱しており、アンケートに対する回答自体がかなり曖昧になっていたことが要因としています。

これは通常なら即座にレイオフ(一時解雇)を言い渡すところを、PPPが受け取れたら解雇しないといった事業者の判断などが影響してしまっているようです。

また、失業率が潜在的にもっと高いという指摘もあります。

コロナウイルス感染への懸念や、そもそもロックダウン(都市閉鎖)で職探しそのものを諦めた人も多く、これらの人々がカウントされてないのではないか、といった見方もあるようです。

やはり、こういった理由による失業率の改善は他国でも見られた傾向であり、失業率の改善は一時的、誇張された数字であるとする人もいるので、想定外の失業率の上昇に注意したいところでしょう。

Next: 当然ではありますが、5月半ばから経済活動が再開されたことで6月の指標も――



6月分の指標は大きく改善!今回も期待感はそこそこ高そう

当然ではありますが、5月半ばから経済活動が再開されたことで、6月の指標も全体的に大きく改善しています。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

先行指標は全体的に良好です。

もちろん、依然として新規失業保険申請件数は歴史的な高水準であり、経済へのダメージ、完全回復はなお遠いことが示されていますが、マーケットとしては最悪期は脱したとの見方で、想定並か、それ以上のペースで回復が続けば良いという考え方に傾いています。

したがって、今回も予想よりも良好な数字が出れば、まずは素直に受け止めるでしょう。

失業率が予想よりも大きく悪化した場合は注意!

相変わらずドル円は上下の抵抗を抜けきれず、レンジにで小幅な値動きにとどまっています。

リスクオンの株高になれば円安・ドル安、リスクオフの株安なら円高・ドル高という傾向で、方向感は出にくくなっています。

ただ、流れ的にはやや上方向を模索する動きが続いていて底堅さがありますし、雇用統計も改善傾向が続くと仮定すれば、まずは上昇を期待したいところでしょう。

非農業部門雇用者数の事前予想値は+300万人の増加となっていますから、これを上回ってくれば、まずは問題ないでしょう。初動は非農業部門雇用者数の数字に一番反応しやすいですからね。

ただし、冒頭でも書いたように失業率をめぐって懸念の声は多いですから、事前予想の12.3%から2〜3%程度の上昇は許容範囲ではありますが、流石に5%近く上回るようなら、混乱から急落してもおかしくはありませんので、最大限警戒しておきましょう。

Next: 想定レートは1ドル=107.00〜108.40円。ドル円の大目標は108.40円近辺に――



想定レートは1ドル=107.00〜108.40円

ドル円(日足)チャート

ドル円の大目標は108.40円近辺にある200日移動平均線となっています。

ここを抜けると上昇余地は一段と広がり、109.00円ぐらいの節目まで見ても良いと思いますが、そのためには非農業部門雇用者数と失業率の両方が予想より良好であることが最低条件でしょう。

基本的なトレード戦略としては、107.00円の節目割れの106.90円を損切りラインとしつつ、現在の107円前半から半ばにかけてはロングでポジションを持っていて良いと思います。

良好な結果で上値が伸びれば、108円台は利食い場となります。

【関連】大荒れ相場こそ攻めの投資!最大損失額を自分で決める「ノックアウトオプション」の魅力-PR-

【関連】マスコミが勝手に都知事選「主要候補」を決める恐ろしさ。都民は偏向報道に騙されるな=鈴木傾城

【関連】日本の税収はもう60兆円を超えられない。税制改悪で経済復活しても財政危機まっしぐら=矢口新

【関連】リスクを避け続けると貧困に落ちる?ドラッカーに学ぶビジネスチャンスの掴み方=俣野成敏

image by:Lourdes Mortel / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年7月2日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。