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プラチナコインがひっそり急騰!ゴールドの影で目立たぬ投資妙味=田中徹郎

プラチナは希少性が高すぎて硬貨に不向きですが、記念的な意味合いを込めて造られたコインが存在します。今年に入って、そんなプラチナコインの相場が急騰しています。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

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プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

かなり希少なプラチナコイン

前回はプラチナのお話しをいたしましたが、今回はその続編として「プラチナコイン」についてお話しさせていただきます。

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前回のメルマガで僕は、プラチナは希少性が高すぎで通貨になれなかった。こんな話をさせていただきました。しかし、例外はあります。

それは記念コインや記念的な意味合いを込め、ほんのわずかだけ造られたコインです。

たとえば先週のメルマガでも少し触れた、フランスで1974年から1980年にかけ造られた50フランのプラチナ貨です。

このコインはピエフォーといって、通常貨の2倍の厚みで造られたコインです。貨幣としての流通を目的としたコインではありませんので、発行枚数もすべての年号を合わせてわずか142枚という少なさです。

図柄はフランス伝統の「ヘラクレス&二人の女神」で、なかなか美しいデザインです。弊社のコインサイトにも写真がありますので興味ある方はご覧ください。

プラチナの金属としての価値は年初来のまま

さて、このコインです。まず驚くのはサイズと重量感です。直径は4㎝ほどもあるうえ、前述の通りに倍の厚みがあります。不思議とこのコインの重さについて書かれた文献を目にしませんが、兄弟コインの「金打ち50フラン」の重さは100gを超えますので、このコインは100g以上の重さがあるはずです。

100gといえば3オンス以上にもなりますが、プラチナの価格は金と違ってこの1年行ったり来たりです。

ですから、このコインの金属としての価値もまた、年初来ほとんど動いていないといってよいでしょう。

Next: プラチナコイン価格は今年に入り2倍に高騰。今後の伸びしろは?



今年に入ってからコイン相場は上昇トレンドへ

一方で、このコインの最近の値動きはどうでしょう。

ここ数年コイン相場は全般的に値上がりしていますが、このコインの値上がりもなかなかのものです。2018年に僕はこのコインをオークションで落札しましたが、その時のハンマープライスは7,500ドルでした。

これに対し、今年8月時点のオークションでは、このコインのハンマープライスは14,000ドルまで上がっていました。なお、それぞれの状態(グレード)は、2018年のコインがPR65、今年8月に落札したコインはPR66でした。

状態は今回のほうが1ランク上ですが、このコインの場合65と66の価格差はさほどありません。ご参考までに発行枚数も18枚と19枚で、差はほとんどありませんでした。

このように2018年時点と直近事例を比べると、2倍程度の差が出ていますが、実はこの相場上昇の大半は今年になって起きたものです。

フランスはこのコインに限らず、1/2フランから100フランまで数種のプラチナコインを発行してきましたが、いずれも同様の価格の推移をたどっています。

1年前にこの状況を予想できた人は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。

希少コイン、今後の値動きは?

では、このフランス50フランを中心とした、いくつかの希少プラチナコイン群…これからどのように相場が推移していくのでしょう。

今から思えば7,500ドルは安すぎました。プラチナ地金ベースで30万円の価値があるうえに、年号によっては1桁台しか発行されていない希少コインです。

年号と状態によっては400万円を超えるコインも出てきましたが、僕はこれでも決して高くはないと思います。

プラチナという金属は希少性が高く、コインの素材としては不向きではありますが、過去を振り返るといくつかの事例はあります。

たとえばフランスの50フランと似た環境で発行されたコインに、1830-45年にロシアで発行された12ルーブルがあります。デザインは王冠をいただいた双頭の鷲で、重さは41g以上もある立派なコインです。プラチナの産出量が限られていたこともあり、この12ルーブルは多い年でも1,463枚しか発行されていません。2枚しか発行されなかった年もあり、その点でもフランスの50フランとよく似ています。

この12ルーブルは発行から175年以上経ち、状態の良いものなら軽く1,000万円を超えます。

プラチナ安の昨今、フランスの50フランはプラチナ製であることから少し下に見られているよう思いますが、いずれその希少性から、ロシアの12ルーブルのような位置付けになっていくと僕は思っています。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2020年10月6日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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