香港をめぐって世界中から批判の的になっている中国だが、新たな反撃の狼煙を上げた。なんと香港に人工島を造成し、70万人が暮らせるようにするという。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
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国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
“中国叩き”のオンパレード
中国に対する国際的な風当たりは厳しくなる一方である。
トランプ大統領はすべての不都合は「中国のせいだ」と大上段から中国批判を繰り返している。新型コロナウィルスを「武漢ウイルス」とか「中国ウイルス」と命名したかと思えば、全米各地で火を噴く「黒人差別反対」運動についても、「裏で煽っているのは中国共産党だ」と言い出す有様だ。
中国国内のチベットや新疆ウイグル自治区での少数民族に対する迫害を取り上げたかと思えば、香港や台湾に対する中国の強権的な対応をやり玉にあげるというわけで、まさに「アメリカ大統領選挙の歴史始まって以来」の”中国叩き“のオンパレードである。
娘のイバンカのファッションブランド品の数々が中国で製造されていることや、娘婿のクシュナーの不動産事業に中国企業が多額の投資を重ねていることには、見て見ぬふりを決め込んでいるようだ。
中国が反撃の狼煙を上げた
そんな批判の矢面に立たされている中国であるが、新たな反撃の狼煙(のろし)を上げた。
その舞台は、世界が注目する「香港」である。
これまで中国は南シナ海の岩礁を埋め立て、人工島を造成し、軍用機の離着陸もできる「海の長城」計画を進めてきたものだ。しかも、人々が暮らせるように環境を整備し、町造りを推し進めてきた。
そうした経験を基に、香港に新たな人工島を造成する計画を明らかにしたのである。
というのも、香港市民の最大の不満は土地の狭さからくる住宅不足とその値段の高さであったからだ。住む場所が限られ、しかも高値で手に入らないため、結婚もできない。そんな若者が急増しており、27万人が公設アパートへの入居待ちを余儀なくされている。
そこに注目した中国政府は、隣接する広東省に「ニュー香港島」を建設すると発表した。
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「ニュー香港島」は受け入れられるか?
ニュー香港島の建設予定地は、「アジアのハブ空港」と呼ばれる香港国際空港からも近い便利なロケーションである。今後20年に渡り建設を進め、最終的には28万軒の住宅を整備し、70万人の香港市民が暮らせるようにするという。
2047年には香港は、中国本土に返還されることが決まっている。
それまでは「一国二制度」が保証されていたわけだが、突然の「香港国家安全維持法」の導入で高度な自治が危ぶまれることになり、今年に入り香港では反中デモの嵐が吹き荒れた。
このところは激しいデモは見られなくなってきたが、世界屈指の金融都市としての香港の先行きに不安が高じたことは否定できない。
香港、珠海、マカオを結ぶ55キロの世界最長の高速大橋を完成させた中国である。新たな人工島の造成で返還間近の香港の未来を大きく変えようとしているに違いない。
ぶっちゃけ、岩を島に変えることはできるのだが、果たして人の心をどこまで変えることができるのか、注目に値するだろう。
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『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』(2020年10月16日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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