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戦後最悪の「ステルス大恐慌」を通過しバブルへと向かう日本=児島康孝

現在の日本は、約70年サイクルといわれる「コンドラチェフ・サイクル」の底を通過中です。おそらく、2015年〜2016年が大恐慌の終わりの時期「底」を通過する時期になると思います。今後の見通しは、日本はバブル経済(景気上昇)へと向かうと見ています。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

「ステルス大恐慌」の現在からバブルへと向かう3つの条件

70年周期の底を通過中

経済状況を説明するとき、「現時点」と「今後の見通し」の2通りがあります。両者は、必ずしも一致しません。

まず「ステルス大恐慌」は、現時点の日本経済の状況であって、この先のクラッシュを示すものではありません。今後の見通しは、従来の見解のとおり、日本はバブル経済(景気上昇)へと向かうと見ています。

現在の日本は、約70年サイクルといわれる「コンドラチェフ・サイクル」の底を通過中です。おそらく、2015年〜2016年が大恐慌の終わりの時期「底」を通過する時期になると思います。

70年前と言えば、1945年です。第二次世界大戦の敗戦直後にあたります。歴史は、繰り返しますが、同じ見た目の形で繰り返すことは少なく、少し異なるパターンで繰り返します。

「ステルス大恐慌」日本の厳しい現実

まず、日本の「現状」はどうなのか。国民生活については、明らかに大苦境に陥っています。餓死寸前の貧困化が進んだり、幼い子を抱えて心中する母親がいたり、すさまじい状況にあります。東京の大都市部でも、空きテナントが出ています。

安全な立場にいるのは、国会議員・公務員・大企業の正社員です。

現在の状況は、戦後の焼け野原のように目に見える形ではなく、目に見えない形で進行しています。

生活苦の原因は欧米流の「構造改革」

国民の多数が収入源を失った原因は、欧米流の「構造改革」を進めたためです。アメリカと日本は全く環境が違うのに、これを進めた結果、大量の低所得者・失業者を生み出すことになりました。

日本の年功序列型は、日本では、間違っていなかったのです。

安定した状態に戻すには、最低保証給付(例えば、月3万円とか月5万円)を行うことです。日本国民に生活を最低保証するということになれば、デフレは緩和するでしょう。北欧では、これが検討されています。

日本企業は、皮肉なことに、リストラを進めて目先の利益は得たものの、結局、家電メーカーの例にあるように技術やノウハウを流出させてしまい、おかしくなりました。

Next: 非正規になったらアウト…日本で米国流の雇用改革が失敗した理由



日本で米国流の雇用改革が失敗した理由

アメリカ型の「雇用の構造改革」を日本で使うには、条件があったのです。

例えばアメリカでは、履歴書に写真は貼らず、人種や性別・年齢も書きません。つまり、採用担当者は、スキルの欄だけで人選を進めます。基本的には、雇用差別をなくし、仕事を失っても再びカムバックできる風土です。外見や年齢を含めたどういう人物かは、面接のときになって初めてわかるといいます。

ところが日本では、事実上、特定の年齢や性別をターゲットにした採用が行われています。つまり、多くの非正規雇用者のパターンで、2度と安定した仕事には戻ることはできないのが現実です。

ですから、写真ナシ・年齢ナシ・性別ナシの採用が現実化してから、アメリカ型の雇用改革を取り入れるべきであったわけです。見かけだけアメリカ型をとりいれたので、大失敗しているのです。

先日、弁護士の女性の方が、仕事がなくて弁護士資格を返上するという記事をみかけました。デフレ恐慌で仕事や雇用が全く足りない現状では、能力やスキルがあっても、生かされることはなく、単純労働者となりがちです。

また、フリーエージェント社会(個人で仕事をする社会)も、アメリカでは芽生えを感じられます。ですが、日本はほど遠いので、現実化してから考えれば十分でしょう。

起業については、「日本は砂漠」と孫泰蔵氏(ガンホー創業者・孫正義氏の弟)は言っています。現実には、融資は受けられないし、起業をサポートするインフラも不足しています。

保育所問題が取り沙汰されるのは当然

保育所問題が注目されているのも、あたりまえです。収入がない場合、保育所に幼い子供を預けられなければ、「飢え死にしてください」というようなものです。子供をおぶったまま仕事をさせてもらえるような所は、ほとんどありません。

一方、ネットなどで求人広告をたくさん見かける、という反論もあるでしょう。しかし、これらは、人材派遣会社が出している場合がほとんどです。

つまり、人材派遣会社は、登録者を集めているわけで、クライアント企業に気に入られるように、非常に年齢・性別を厳選して採用し、派遣しています。

昔のように「仕事があって、そのために募集する」という感じではなくなっています。第一段階として、人材派遣会社の選抜をクリアするのが大変な世の中になっているのです。人材派遣会社にすれば、厳選採用して派遣した方が、評価を得られますからね。

このように国民の大多数に「貧困化」が迫っているのが、今の日本の現状です。

Next: 生活苦はGDPのマイナス幅以上。それでも日本がバブルに向かう3つの条件



GDPマイナス幅以上の苛酷な「現実」

日本のGDPがマイナスであったのは、海外では驚きをもって見られました。しかし、現実が現実だけに、全くあたりまえです。そして、GDPがマイナスといっても、大企業は空前の利益を計上しています。

つまり、国民生活の苦境と、大企業の利益を足すと、GDPがマイナスということです。

そうすると、大企業の利益以外を見ますと、よりマイナスは大きいことになります。ですから、国民生活の苦境は、GDPのマイナス幅よりさらに大きいわけです。

実感は、日経平均1万1000円〜1万2000円

国民生活の感覚でみますと、日経平均は1万1000円〜1万2000円ぐらい、為替は1ドル=87円とか88円ぐらいの感覚があります。

現在の日経平均や為替レートについて、株安とか円高ということをおっしゃる方もいらっしゃいます。ですが、私は全然、株安・円高とは思いません。いまでも十分、株価は高く、円安だと思います。

そもそも、為替投機でなければ、1ドル=110円ぐらいで、輸出企業は十分やっていけるはずです。これぐらいのレートですべて予約してしまって、本業に集中するというのも賢明だと思います。

ここからバブルに向かう3つの条件

現状はまさに「70年に一度の大恐慌」で厳しいですが、そろそろ転換の時期に来ています。マイナス金利も導入されました(気がかりなのは、条件や規制がついていることですが…)。

このため、日本は「バブル景気」に向かうと見ています。バブル景気というのは、起こらないと思えるときに起こります。原油価格が低く、内憂外患の問題があって、金融が緩和的であることが条件です。

このシナリオが変更されるのは、次の2つのパターンです。

  1. FRBが、利上げをやめて利下げに転じる
  2. 第三次世界大戦が勃発

過去の歴史をみましても、コンドラチェフ・サイクルが転換してすぐの時期は、まだ不安定で、戦乱が起きやすいです。注意は必要でしょう。

ということで、今年の年初から春にかけてのクラッシュは、そろそろ終わると見ています。

なぜなら、FRBの利上げ途中のクラッシュは、景気サイクルとは逆方向で、長時間(長期間)続きにくいからです。3月10日危機説とかも流れていましたが、結局、ポジショントークだったように見えます。

現状は厳しいですが、そろそろ景気の上昇が始まると見ています。

【関連】「年収1,000万円ビンボー」急増中!高所得者がハマりやすい3つの罠=栫井駿介

ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2016年4月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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