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今夜の米雇用統計は「戻り売り」で!強めの数字が出ても結局はドル安へ=ゆきママ

今夜はドル安が加速する中で雇用統計を迎えることとなります。強めの数字が出ても結局はドル安になりやすいと考えられますので、その背景と今日のトレード戦略について解説していきます。(FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

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FRBによって本質的なドル安が継続しやすい状況

今後の為替レートを考える上で、非常に重要なのが本質的なドル安という流れでしょう。ドルインデックス(円やユーロ、ポンドといった主要通貨に対するドルの強さを指数化したもの)は、2018年4月以来、約2年半ぶりの水準にまで落ち込んでいます。

背景にあるのは、ドルそのものの弱さでしょう。米国の経済自体は比較的順調というか、コロナ禍にも関わらず健闘していると言って良いでしょう。

しかしながら、FRB(米連邦準備制度理事会)は、2%以上のインフレ率を一時的に容認するとし、長期間にわたってゼロ金利政策の継続を宣言しています。

このことが、仮に景気が回復してもドルの先高観に繋がらず、最近のドル安的傾向が続いていると言えるでしょう。

ドル以外の主要通貨動向もドル安を後押し

また、FRBによるドル安という本流に加え、円やユーロ、ポンドといった主要通貨が買われやすくなっていることもあるでしょう。

円に関しては、最近はリスクオフ(回避)による極端な円高が見られなくなりましたが、日銀の政策状況を踏まえると、これ以上の金融緩和は難しく、もはや円安誘導を行う余力はないでしょう。

ユーロについては、ECB(欧州中央銀行)が今月にも追加の金融緩和策を実施する予定ですが、これによって欧州経済が回復することが期待されている他、FRBほどの異次元の金融緩和というのは行っていませんし、インフレ率2%のオーバーシュートといった議論も行っていません。

やはり財政拡張を嫌がるドイツの意向は大きいですから、FRBと比べ金融引き締めを意識させられるユーロは買われやすくなっています。

さらに、ポンドですが、こちらはブレグジット(EU離脱)を懸念して売られ過ぎてきた背景があります。目先は合意期待で買われやすくなっています。

というわけで、ドルの本質的な下落に加え、他の主要通貨が買われやすい(売られにくい)という今の状況が、ドル安というトレンドを後押ししているのが現状でしょう。

Next: 先行指標の結果は?雇用の改善傾向は続くがそろそろ鈍化意識か



雇用の改善傾向は続くがそろそろ鈍化意識か

コロナ・ショック以後、米国の雇用統計は驚きを持って伝えられてきました。特に失業率に関しては、月平均で1%近く改善するなど雇用市場の急速な回復が意識される結果となっています。

しかしながら、今回の予想や先行指標を見る限り、そろそろ雇用の改善傾向も一服となりそうな点に注意でしょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

やはりISM(全米供給管理協会)の発表した、11月の製造業の雇用指数が再び好不況の境目となる50.0ポイントを割り込んだことが大きいでしょう。コロナの第2波の影響が強く表れていると言えそうです。しかも、状況は悪化の一途を辿っていますからね。

また、事前の予想値を見ると、11月の失業率は6.8%と予想されており、前回の6.9%から0.1ポイントしか改善しない見込みとなっています。

この予想値通りの結果となってしまうと、雇用拡大ペースは鈍化、失業率もコロナ前と比べて高止まりが意識されそうで、ドル買い要因にはなりにくいでしょう。

予想外に強い数字が並べば反発は大きそうだが、基本は戻り売り!

かなりドル安気味に推移していることや、昨夜はファイザーが年内のワクチンの供給量を下方修正したことが嫌気されてリスクオフの円高に傾いたことも踏まえると、仮に今夜の雇用統計で強い数字が並べば反発は比較的大きくなる可能性があります。

とはいえ、ドル円の下押し圧力を振り切って大きく反発するためには、非農業部門雇用者数が+50〜60万人程度、失業率が0.5ポイント以上の改善を見せて6%台前半まで下がるといった、かなりのサプライズ的な数字が必要でしょう。

これまでも米国の予想外に強い経済指標を受けてドル高になる場面はありましたが、一巡すればいずれもドル安でしたから、かなり強い数字が出た場合でも上値を確認した上で戻り売りで対応すれば良さそうです。

ドル円(日足)チャート

基本的なトレード戦略としては、多少良い程度でドル円が反発して104円台に頭を出してくるのであれば、喜んで打診売りでしょう。

Next: 想定レートは1ドル=103.00〜104.50円



想定レートは1ドル=103.00〜104.50円

よほど強い数字、ポジティブサプライズがない限りは、104.50円といった104円台半ばで追加売り、104.80〜105.00円といった105円の節目手前では厚めに売りたいところ。

また、上値を抑え続けている89日移動平均線、現在105.30円レベルにありますが、89日線ブレイクが損切り目処ということになります。

下値については、103.50〜103.70円といった103円台半ばが強めのサポートとなっていますし、11月安値となった103.20円から103.00円の節目については強めの支えとなりそうなので、目標はこの辺りでしょう。

仮に103円台を割り込んでいくようであれば、いよいよ100.00円の大台節目が意識されることになります。

このように、狙いとしては相当強い数字が出ない限りは戻れば叩くという意識で対応しましょう。突っ込み売りに関しては、ここ数日かなり極端なドル安も続いていますので、週末という状況も考えれば避けたほうが無難だと思います。

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image by:Romrodphoto / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年12月4日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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