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イトーヨーカドー改装も客離れ止まらず、デフレ不況で総合スーパー陥落=児島康孝

総合スーパー不振の中、イトーヨーカドーが改装などで売り場の改善を進めています。高く評価できる点もありますが、総合スーパーの位置付けが難しい段階のため、余程の日本経済の復活がない限りまだ厳しいでしょう。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)

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改装で生まれた変わった東京調布市「国領店」

外壁から内装までフルに改装して生まれ変わった、イトーヨーカドー国領店(東京都調布市国領町)。

京王線と小田急線の間に立地するこの店舗は、周囲にはマンションなどの住宅地が広がっているほか、広い平地の駐車場も備えています。

広い店舗は3階建てで、1階が食品などで、2階・3階は衣料品や家電などを扱っています。

1階の改装では、照明も明るく、綺麗な食品売り場となりました。過度な価格競争よりも、売り場の綺麗さでお客さんを獲得する戦略のようです。

特に改装で評価できるのは、フードコート。従来のフードコートのイメージを一新しました。木目調の色彩で、スタイリッシュな空間に改装されています。電源席の用意もしているようですが、きょう時点(※編注:原稿執筆時点12月2日)では、使用はまだ見送っています。

食品売り場は平日もそこそこ賑わっていて、2階や3階には通路に休憩用の綺麗な椅子も用意されています。

工夫の様子が伺えますが、一方で、なかなか厳しい側面もあります。

総合スーパーへの来店目的が希薄化

イトーヨーカドーも改装で頑張っているのですが、総合スーパー自体が、目新しかった時代とは異なり、来店目的が希薄化しています。

そのため、1階の客層を見ても、高齢者のお客さんの比率が非常に高いです。

つまり、価格競争では、30代や40代のお客さんは「業務スーパー」や「オーケー(スーパー)」に流れます。

また、家の近隣には中規模の「サミット」がある場合が多く、そちらの方が広い総合スーパーよりも買い物がしやすかったりもするのです。

総合スーパーの立ち位置が揺らいでいる

このため、イトーヨーカドーに限らず、総合スーパーは経営の方向付けが難しくなっています。

その傾向が顕著なのは、特に2階と3階です。衣料品や家電などは、専門店にはまったく太刀打ちできません。

総合スーパーの衣料品や家電売場が不振と言われて久しいですが、打開策はまだ確立されていないようです。

Next: 近隣のライバル店に勝てるか?調布市国領の勢力図は



調布市国領の場合は?

このイトーヨーカドー国領店の周辺の状況は、京王線の国領駅に隣接する「マルエツ」が強さを
発揮しています。

このマルエツ、特段、変わった印象は感じられないものの、1階にはイートインのベーカリーがあったり、地下の食品売り場は、今なら入り口にミカンが山積みです。普段使いのスーパーとして、すっかり定着しています。

同じ国領駅には、「西友」も逆サイドに隣接して店がありますが、こちらは、ちょっと活気がありません。

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ですから、賑わい度を筆者が見た感じでは、マルエツ > イトーヨーカドー > 西友 という順になります。

デフレ不況でイトーヨーカドーはより中途半端は立ち位置に

もっとも活気のあるマルエツでは、1階に衣料品売り場があるのですが、お客さんがかなり目につきます。

イトーヨーカドーと何が違うのだろう?と比較してみると、マルエツでは、家の中や近所でちょっと着るような服を売っているのです。

ところが、イトーヨーカドーの場合は、どうしても調布駅にある駅ビルの専門店や、パルコとの比較となります。

デフレの中、調布駅ビルのファッショナブルなブランド専門店でも数千円の価格帯の商品が多くなっており、それなら、イトーヨーカドーよりも調布駅ビルのお店で買おうということになるのです。

ですから、イトーヨーカドーの改装は、特にフードコートは高く評価できるものの、まだ総合スーパーの復権とまではいかない印象です。

日本経済が突然に復活して、消費のパイが広がれば、改装の努力は報われるかもしれません。しかし、このままデフレ不況がさらに続けば、せっかくの思い切った改装も、総合スーパー不振のダメージをやや抑制する範疇にとどまってしまうのではないかと思われます。

消費が強ければイトーヨーカドーの改装効果は出てくると思われますが、ちょっとまだ、デフレ不況が強いですね。

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image by:Ned Snowman / Shutterstock.com

ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2020年12月2日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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