逆襲のロシアと、沈黙のアメリカ。激変する情勢で日本の針路は?

 

今後の日本の方針

現状を把握できたところで、日本のこれからの「針路」を考えてみましょう。

日本のとるべき戦略は、

アメリカを中心とする中国包囲網を形成すること」です。

もう一度書きますが、

“アメリカ”を中心とする中国包囲網を形成すること」です。

なぜ、

日本が中心となって中国包囲網を形成する」ではダメなのでしょうか?

これだと、アメリカが、「じゃあ日本に中国と戦ってもらおう」となるかもしれない。

リベラルの人たちがいう、「アメリカは梯子をはずす」かもしれない。

実際、アメリカは、ジョージアやウクライナをロシアと戦わせ、状況が変わるとあっさり捨てました。

ウクライナも、アメリカに利用され、ロシアと戦い、今は見捨てられ、みじめな状態に置かれています。

ですから、「アメリカを中心とする」なのです。

ここを確認したうえで、

1、アメリカとの関係をますます緊密にする

「希望の同盟演説」「安倍談話」路線ですね。

これさえしっかりしていれば、中国は尖閣も沖縄も奪えません。

2、中国との関係は、アメリカの「対中姿勢」とあわせること

安倍総理が米議会演説や談話で、どんなに美しいことをいっても、なかなか信頼されません。

その理由は、日本人の「誰とでもできるだけ仲良くすべき」という文化というか態度にあります。

たとえば、「希望の同盟演説」の翌月、中国に3000人も送り、「戦略的互恵関係を深めよう」とかありえません。

これでアメリカは、「安倍の希望の同盟演説はウソだ」と失望した。

中国との距離感をどうとるか?

これはとても重要な問題ですね。

まず、中国挑発することは絶対避けるべきです。

アメリカ抜きで日中関係がひどく悪化すれば、アメリカは、

「じゃあ日中で戦って! アメリカは漁夫の利を得れてうれしいからね」

となるかもしれません。

しかし、アメリカが不信感を抱くほど中国に接近してはいけない。

中国との関係は、「アメリカ追随」でいいのです。

アメリカが、「南シナ海埋め立て問題」を非難する。

その後、日本も非難する。

アメリカが、なんらかの理由で中国と和解する。

すると日本も、ちょっと和解する。

日本の戦略はあくまで、

「アメリカを中心とする中国包囲網の形成」。

ですから、単独で中国を挑発したり、単独で中国と和解してはいけないのです。

こんな話をすると、「北野は従米主義者だ!」と批判されるかもしれません。

批判するのは簡単ですが、ではどうすればいいのでしょうか? 

・小鳩時代のように中国に単独で接近し、日米同盟をメチャクチャにしますか?

日米同盟が破壊されれば、中国は容易に尖閣・沖縄を奪えることでしょう。

・2次大戦時のように米中両国と戦いますか?

勝てる可能性は1%もありません。

小学生でもわかるでしょう。

なにも考えずにアメリカに従いつづけるのは、確かに「従米」です。

しかし、情勢を冷静に分析したうえでアメリカと組む。

これは、「戦略的選択」です。

image by: Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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