【Feel so BAT!】凶暴ゆえに命を感じるアートな「釘バット」展

 

作者の名は「釘バットさん」さん(釘バット「さん」までがアーティストネーム)。

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年齢は不詳だが、4月44日生まれという和風オーメンな生誕月日だけは公表されている。

そんな釘バットさんさん(以下、釘バットさん)はバットに釘を打ちこんでアート作品にするという行為を、いつ、なにがきっかけで始めたのだろう。

作り始めたのは2004年です。きっかけは、むしゃくしゃしていたから。その当時、mixiの日記に「こんなにむしゃくしゃするんなら釘バットでも作ってやろうか(笑)」と書いたんです。僕が大好きなパンクバンド「QP‐CRAZY」のボーカリストであるザ・クレイジーSKBさんがヴィジュアルのシンボルにしていたのもあって、以前から釘バットには興味はあったんです。するとまわりからの「やれやれ」という反応がすごくて、じゃあ実際にやってみようと、バットを買いにホームセンターへ行くところから始めました。店員さんに「金属バットですか? 木製ですか? 軟式野球用ですか? 硬式ですか?」って訊かれたんで、「いや、どっちでもいいです。釘バットを作るんで」と。そのときの店員さんのけげんな表情は面白かったですね。そして6種類のサイズが異なる釘を打ちこみ、mixiに「釘バットができるまで」のセルフリポートを書いたら、これもまたドカンと反応があったんです。それから今日まで11年ですね。素材を手に入れる行きつけは「コーナンプロ」というホームセンターで、もう僕の庭です。

むしゃくしゃしていたからという初期衝動から開幕戦を迎え、マイミク(←懐かし!)からの声援に応えるためにアートの打席に立ち、以来11年にも渡り精魂込めて何十本ものバットに釘を打ちつけている釘バットさん。

釘1本にもこだわりを貫き、専門業者からわざわざ取り寄せることもあるのだとか。

11年間で1本たりともバットが割れたことがないというから、その品質と、ものづくりに向かう姿勢に背筋が伸びる。

作家であり、かつ職人としても、釘バット界の第一人者なのだ(と言っても、この人ひとりしか知らないのだけれど)。

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6タイプの釘を打ちこんだデビュー作品。パンクな初期衝動が伝わるピュアな形状。

 

あこがれのボーカリストであり、レーベル「殺害塩化ビニール」の社長、ザ・クレイジーSKBも釘バットさんの作品を手にした。

あこがれのボーカリストであり、レーベル「殺害塩化ビニール」の社長、ザ・クレイジーSKBも釘バットさんの作品を手にした。

 

遂に殺害塩化ビニールとのコラボ作品が誕生。

遂に殺害塩化ビニールとのコラボ作品が誕生。

 

手にしてみると、釘の形状へのこだわりや、打ちこむ配置の工夫がよりいっそう理解できる。

手にしてみると、釘の形状へのこだわりや、打ちこむ配置の工夫がよりいっそう理解できる。

それにしても、こんなに硬いバットに、よく釘が刺さるなあ。木製はまだわかるが、金属バットにいったいどうやって釘をパンチするのだろう。

金属バットは、重さ900グラムある金づちで、力ずくで打ち込みます。火花が散りますよ。

火花が! これら釘バットは、そんな凄絶な状況下で生まれていたのか。もはや釘バット界の芥川賞作家だ(と言っても、この人ひとりしか知らないのだけれど)。

金づちで打ち金属バットを貫通させた、まさに「力量」が試される渾身の一作。

金づちで打ち金属バットを貫通させた、まさに「力量」が試される渾身の一作。

 

「取り扱い注意」の警告札に折れた釘と血糊。「使用後」を演出したとりわけホラー色が強い名作。

「取り扱い注意」の警告札に折れた釘と血糊。「使用後」を演出したとりわけホラー色が強い名作。

 

そうかと思えば、こんな雅で愛らしい作品も。

そうかと思えば、こんな雅で愛らしい作品も。

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