【書評】無一文から7000億の上場企業に。ドンキ創業者の波乱万丈人生

 

「どんなことになっても、こいつらの下で働く人間にだけは、絶対になりたくない。ならば自分で起業するしかない。ビッグな経営者になって、いつか見返してやろう」(中略)「えっ、起業を志した理由は、たったそれだけですか?」と、よく人に聞かれるのだが、これがすべてなのだから「そうです」としか答えようがない

うらぶれた気持ちで夜の繁華街をあてどなく迷いながら歩いた経験から、私には夜の街を漂流する若者たちの気持ちが痛いほど良くわかる

そもそも、金も信用もない私が、まともな仕入れをやって勝てるわけがない。遅ればせながらそう気づいた私は戦略を切り替え、大きなメーカーや問屋の倉庫の裏口に日参することにした

あまりの激安ぶりに、お客さまから真顔で尋ねられたことがある。「やっぱり盗んできた商品を売っているから『泥棒市場』なんですか」

圧縮陳列を始めてからのほうが、お客さまの受けが良くなった(中略)流通の教科書には「見やすく、取りやすく、買いやすく」が小売店舗の鉄則だと書いてある。しかし、私は「苦肉の策」として逆張りした結果、そこに鉱脈があることを発見したのだ

「もしかしたら書けないかもしれないボールペン一本十円!」などと人を食ったようなPOPもバカウケした

ナイトマーケットこそ、日本の流通業界に残された最後の大金鉱脈である。日本の小売業総販売額は約百四十一兆円(二〇一四年実績)だが、そのほとんどはデイマーケットだ。しかし私は少なくともその二割強、三十兆円程度は夜間売上に移行する可能性があるとみている

販売は嫌いでも仕入れが嫌いという人間はまずいない

◆仕事のゲーム化のポイント
・明確な勝敗基準 ・タイムリミット
・最小限のルール ・大幅な自由裁量権

まじめで能力と才能にも恵まれているのに、なぜかビジネスでうまくいかない人がいる。そんな人は、私に言わせると、「見」ができていない

ドンキの現場従業員は、各売場で基本的に顧客親和度の高い者が優先的に配置される 

得るべき果実を完全に収穫できなかったことを、地団駄踏んで悔しがれる人が本当に強い勝負師だ

ツキのない時は「見」を決め込む

「人は人のことなど分らない」。だから時間のテストが必要になる 

経営ノウハウとしても、人生訓としても役立つ内容で、自らの経営と人生を振り返るよいきっかけとなりました。

力強く成長を続けるアメリカと、衰退する一方の日本を見ていると、本書のワンフレーズが身に沁みます。

 IQの高い人が経営で過ちを犯すのは、理路整然と経営をおこない理路整然と間違うからだ

起業家であれば、この国が20年間犯してきた過ちを人生や経営で犯すべきではありません。むしろ、20年間成長し続けてきた同社から謙虚に学ぶべきです。

これは、必読の一冊でしょう。

image by: Wikimedia Commons

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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