トヨタの本気。ニュルブルクリンク直結のスペシャルモデル、86 GRMN

 

ブレーキは、フロントに6ポッド、リヤに4ポッドのアドヴィックス社製の対向モノブロックキャリパーに、ブレーキパッドはノーマルと同じパッドが組み合わせられている。その理由として、レース用のパッドよりストリート走行でコントロール性が優れているからだ。 

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エンジンは、もともとものFA20型用のパーツとGAZOOレーシングの専用開発パーツを組み合わせているため、FA20-GR型と名付けられている。専用パーツは、低張力ピストンリングを採用し、クラウン部の形状を変更した軽量ピストン、インテークマニホールドとコレクターチャンバー、インテークホース、エアクリーナーボックス、完全等長のパイプ製エキゾーストマニホールド、そして専用ECUだ。

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アルミ鋳造製のインテークマニホールドは可変長インテーク式としており、ECU制御により低速時はロングマニホールドを、高速時はショートマニホールドを使用する。またこれに合わせ、ラジエーター上部にあるY字状のエアインテークも低速時は片側が閉じられ吸気流速を高めるようにしている。

排気干渉を抑えエキゾーストの排圧も低減されており、シャープにレスポンスよく吹け上がり、フィーリングはまさにレース・エンジンだ。出力はノーマルの200ps/7000rpmが219ps/7300rpmに、トルクは205Nm/6400rpm-6600rpmが217Nm/5200rpmと向上している。また加速時のスポーティな排気サウンドもこのエンジンの特徴になっている。

インテリアも2シーターに変更しただけでなく、フロントシートに軽量なレカロ製を採用。インスツルメントパネルやトリム類はイタリア製のアルカンターラ表皮が貼られるなど、スポーツ性を強調したシンプルな仕上げとなっている。

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2-17 ごく短時間ながら試乗できたが、確かにエンジンのレスポンスのよさは抜群で、アクセルの踏み込みに応じた加速感が得られた。エンジンサウンドも、レーシングカー的に迫力がある。

86 GRMNは見た目の車高が低めで相当にサスペンションは締め上げられているように見えるが、路面との接地はしなやかさがあり、ごつごつ感や飛び跳ねる印象はなかった。これはニュルブルクリンクでの接地性を重視したチューニングをコンセプトにした走り味だと思う。

ボディやエンジンはノーマルモデルとまったく別物で、性能向上のための専用パーツが各所に採用されており、生産台数は100台のハンドメイドということを考えると648万円という価格は妥当だが、クルマ全体のイメージはやはり限りなくレース仕様車といえる。

きめ細かな質感や仕上げという点では不満は感じられるが、ニュルブルクリンクに直結したスペシャルモデルと位置付けるべきだろう。86 GRMNはトヨタ、GAZOOレーシングで初めてボディ、エンジンなどすべてを工房で組み立てるという手法が採用されているが、これは今後のGRMNモデルにも継承されることになるはずで、今後のGRMNの展開は注目だ。

image by: Auto Prove

 

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