独立すれば失うもの
スペイン経済紙『el economista』によると、カタルーニャが独立すれば、カタルーニャ州からスペインの他の自治州に移転することを希望している外国企業が25%あるという。
移転を希望している理由は、独立すればユーロ圏に属している特権がなくなるからである。
しかもカタルーニャ独立すればユーロ圏への加盟も出来ない。
何故なら、加盟するにはメンバー国の全員の賛成が必要で、スペインがそれに反対するのは明白だからだ。
また、EUからの産業奨励金も受け取れなくなる。これが年間で50億ユーロ(6,500億円)になるという。
また『el confidencial』電子紙は、独立すればカタルーニャの銀行が弱体化し、預金引出し制限が起きると指摘し、ドイツのコメルツ銀行は投資がカタルーニャ以外の地方に向かい、スペイン自体への投資も減少する可能性があると報じた。
因みに、カタルーニャ州には外国企業は3100社進出しているという。
日本企業は凡そ180社だ。
カタルーニャ州から企業が離れるという出来事が既に起きているという。
医薬品の国際企業サノフィ(Sanofi)社は2012年からスペインの本社をマドリードに移した。
またホームケア製品などの米国企業プクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)社も同様に2013年にマドリードに本社を移した。
アスピリンのバイエル(Bayer)の場合はバルセロナから一部業務をフィリピンに移動させたという。
更に上述経済紙は独立運動を表面化させたマス氏が2011年に州知事になってから、これまでにスペイン企業を含め3,839社がカタルーニャから撤退したと報じた。
更に、同紙はカタルーニャが独立すれば外国からの投資も200億ユーロ(2兆6,000億円)減少し、カタルーニャのGDPは21.1%後退、そして労働人口の16%が職場を失うと警鐘した。
その一方で、2005年から2013年の間に外国からのマドリードへの投資は4倍に増えたという。
また銀行でも、スペインの大手3銀行(Santander、BBVA、La Caixa)はカタルーニャが独立すれば単に支店という形で残し、本社機能は全てマドリードに移す意向だ。
カタルーニャが独立すれば、金融面での欧州中央銀行からの特権も享受出来なくなるからだ。
大手銀行がカタルーニャ州から撤退すれば、州民の間で銀行への不安が生まれ、資金がカタルーニャから流出し、ギリシャで起きたように、銀行での預金引き出し制限が行なわれると予想されている。
バルセロナ企業の間でもカタルーニャの独立を望んでいるのは僅かに一部の中小企業だけだと言われている。
スペイン市場全体を商いの対象にしているカタルーニャの企業は独立した時のカタルーニャ以外の地方からの反動を配慮すると、独立のメリットはないという考えだ。
スペインで一番大手のカタルーニャが本社の出版社ラプラネタ(La Planeta)のオーナーのララ氏は「カタルーニャが独立すれば、本社をサラゴサ市かマドリード市或いはクエンカ市に移す」と表明した。
シャンペンに対抗するカバでは世界でトップ企業のカタルーニャ企業フレイシュネット(Freixenet)のオーナーであり、スペイン商工会議所の会長でもあるホセ・ルイス・ボネー氏は「多くのカタルーニャ企業がBプランをもっている」と指摘した。
それはカタルーニャが独立した場合に即座に対応出来るように練ったプランのことである。