ソロスの言動からわかる、国際金融資本の意志
ここまでのソロスの言動から、世界の裏を読み解いてみましょう。
まず、ソロスは、「反ブッシュ」「反一極主義」である。08年1月、ソロスは、「ドル時代の終焉」を宣言し、「アメリカ時代の終わり」を事実上容認した。
一方で、10年時点でソロスは、中国を絶賛している。「今起こっていることは、イギリスからアメリカに覇権が移った時代によく似ている」とし、中国が覇権国家になることを、肯定している。
ところが12年から徐々に反中国に転じ、いまではむしろ「中国経済崩壊」をはやめるような言動をしている(ソロスが、「ハードランディングは不可避だ!」といえば、投資家や企業はますます逃げ、本当にハードランディングする可能性が増すでしょう)。
一体ソロスに何が起こったのでしょう。
皆さんはおわかりですね。
国際金融資本は、「中国は俺たちに従順だから、アメリカから中国に覇権が移っても、俺たちが支配を継続できる」と思っていた。しかし、中国は、次第に傲慢になり、国際金融資本のいうことを聞かなくなってきた。
中国はこれまで、「欧米のつくった枠の中でパワーを得たいだけで、それ以上の野望はない」と繰り返していた。ところが欧米の枠の外に「AIIB」をつくるなどして、国際金融資本に挑戦しはじめた。ソロスも、「中国は、もはや自分勝手に動きはじめた」ということで「反中」に転じたのでしょう。
過去、一極支配を進めるブッシュ政権と多極世界構築を目指すソロスの意見は異なっていた。しかし、今は、「中国崩壊」を目指すアメリカ政府とソロスの思惑が一致している。つまり、「国際金融資本」も「中国つぶしに動きはじめた」ということなのです。
そして、アメリカ政府は、中ロを分断するために、ロシアとの「和解」に動いています。反ロシアだったソロスも、欧州に「ロシアと和解せよ」といっている。
要は、ブッシュ時代バラバラだったアメリカ政府と国際金融資本が1つになって「中国をつぶす」ということなのでしょう。
image by: Wikimedia Commons
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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