だが、学力・思考力不足の背景には、もっと驚くような問題がある。
子供たちのペンの持ち方がおかしいのだ。もう30年ほど前からその兆しはあったが、今、塾で見ている30名ほどの中学生の内、正しいペンの持ち方ができている子は、1、2名だけ。ほとんどの子供たちが、まるで幼児のように、「グー」でペンを「握って」文字を書いている。
そして、勉強中の姿勢がひどい。授業中に背筋を伸ばして座っていられない子が多い。いくら部活動で疲れているからとはいえ、机に頭を乗せたまま問題を解いている姿には、驚きを通り越して呆れるしかない。何度注意しても直さない。「家でも学校でもやっているけど、怒られたことはない」と言う。
数十年前、小学校に入学して最初に学んだことは、勉強の時の正しい姿勢と正しい鉛筆の持ち方であったはずだ。中学生になっても身についていないということは、小学校の先生がきちんと訓練しなかったということだろう。あるいは、ペンや箸の持ち方などは、最低限の「しつけ」として、親がうるさく注意して身につけさせるものではないのだろうか。
「個性の尊重」と「放任」とを取り違えた教師や親たちは、「強制」を嫌がるが、最低限身につけなければならない心身両面の基礎訓練は必要だ。そして、子供たちには、親や教師、先人の教えに素直に従う心の大切さを、まず学ばせなければならない。
学力低下、「いじめ」の問題の根っこには、「しつけ」レベルの基礎訓練の不足があるように思われてならない。もちろん、大人の側に、年少者の尊敬を得られる人間となるための、日々の努力精進が求められることは、言うまでもない。
小宮直子
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