第1章では、「きつい人」がどのような人なのか、「承認」とはどんなことかが、書かれています。p.31からは、「感情の世界でわたり合っても絶対に問題は解決しない」という見出しで、
感情の世界でやり合うことで、双方が悪感情を募らせ、結果的に人間関係のすべてを、失うことになる。
と、危険性を指摘します。
相手は慢性的に感情的であることもあるし、話のはずみで一時的に感情的になることもあるでしょう。その状況でこちらも感情的になれば絶望的です。
これ、まさにクレーム対応そのものではないでしょうか。そして、相手を感情の世界から引っぱり出して、理性の世界に引っ張り込むことが、ただひとつの問題解決法で、それが「承認」だと説明されます。
実は、わたしのメルマガでも、これを元ネタに、第19号から4回かけて、この「承認」について、説明しています。
よろしければご一読ください。
第2章は、「きつい人」がどのような言動で、人を傷つけるのかが、外的コントロールということばを使って、詳しく解説されます。そして、外的コントロールを使う、「きつい人」をどう変えるか、どう接するかについて、著者は、ためらいもなく衝撃の一文で切り捨てます。
あきらめてください。絶対に変わりません。
え? え? あきらめちゃうの?
そうなんです。人を変えるのをあきらめ、自分が変わっていくためのノウハウが、次章から展開されていきます。第3章では、きつい人を変える努力ではなく、自分が変わる努力の具体的な手段として身につけるべき、「承認」について解説されます。第4章では、「承認」を具体的に実践する方法が解説されていきます。第5章では、相手は変えられないが、自分は変えられる、「減点法で欠点探しするのをやめ、よいところを探す」といった手法が、紹介されます。第6章では、批判、叱責は、負の遺産であり、時代が変わりつつあることを示唆して、承認される生活のすばらしさを説くのです。
「人間関係にうんざりしたときに読む本」、わたしは、最初の読了後、感動と衝撃で、しばらく何も考えることができませんでした。
感動した理由は、他人を承認する方法が、すぐに実践できるよう具体的に書かれていたことと、そのためには、自己承認が必要であることがわかったから。衝撃を受けた理由は、妻と結婚する前、長い間つき合っていた女性に対して、自分が、ここに書かれていた、「きつい人」そのものだったからです。
わたしは、仕事においては、どのようなクレーム案件であっても、解決させる自信はありました。でも、人間関係に悩んでいました。わたしが人間関係がうまくいかない理由は、お客さまには承認ができていても、身内にはまるでできていなかったからだった。とても、悲しく、そして申し訳ない気持ちでいっぱいになる、切ない氣づきでした。
しかし、そんな自分すらも自分自身で承認して、他の人を批判しない人になることが大切であると、この本は教えてくれます。まさに、自分自身も含めた人間関係に、「うんざりしていた」わたしにとって、この本は、希望をくれたのです。
Amazonによると、著者は7冊の本を出されていて、どれも評価が高く、この本も★4.5以上の評価でした。
わたしにとっても、人生をよい方向に変えてくれた、今でもときおり手にとって読む、大切な1冊です。自分以外の何かを変えようとして、何も変えられていない無力感を感じている方は、読むと、世界が変わるかもしれませんよ。
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