アメリカの敵は誰か? アカデミー賞から見る、ハリウッドと政治史

 

限られた有色人種の受賞者

当初話題に出ていた、「2年連続有色人種が候補から外された」なかでのスパイク・リー監督の「黒人がなかなかリストアップされない」という批判だが、これまで88回の歴史を振り返ってみても有色人種の受賞者の数は圧倒的に少ない。主演男優賞ではシドニー・ポワチエが「野のユリ」(Lilies of the Field / 1963年公開)で黒人として初受賞し、主演女優賞としてはハル・ベリーが「チョコレート」(Monster’s Ball / 2001年公開)にて黒人で初めて受賞したことが記憶に残っているが、有色人種の受賞者は非常に少ない。

サミー・デイヴィスJr.やデンゼル・ワシントンなどの名優がおり少しづつ変わってきてはいる。その中でオバマ大統領が黒人として初の大統領を務めているということが1つの象徴としてはあるのだが、元々アメリカは「WASP」(ワスプ)しか大統領になれないという神話があった。これはホワイト・アングロサクソン・プロテスタントが大統領になるということだが、カトリックのケネディが大統領になったことで打ち破られた。しかしながら、いまだに有色系のアジア系やイタリア系の人が大統領になったことはない。

映画を「政治色」という観点で

これまで映画と人種問題や政治の関連をみてきたが、今年の大統領選は新しい流れになりそうだ。トランプ氏は実業家で政治経験はない。WASPではない候補がおり(クルーズ上院議員、ルビオ上院議員はともにキューバ系移民の中南米系=ヒスパニック系)、変わるかどうか1つの節目でもある。

共和党は大半が保守主義者、トランプ氏は共和党内からも批判されている。もしトランプ氏が大統領になると、アメリカ映画の中味も先祖返りしてくるような感じがしてくる。こうやって見てくるとアカデミー賞というのは、一般的には「芸術」であるように捉えられているが、かなり「政治色があるという観点でみた方がよいと思われる。

(TBSラジオ「日本全国8時です」3月8日音源の要約です)

image by: Tinseltown / Shutterstock.com

 

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