この物語を知っているのは父親しかいないと、母に詰め寄ると衝撃の事実が。旅先で死んだと思っていた父親が生きていたのです。
そして作りかけだった物語の最後の文章が書かれた掲示板を見つけ、新たな文章を書くことを決意した楓だったが、そこで場面が急転し……。
という家族の愛のテーマをファンタジックに表現しています。そして『君がいなくちゃだめなんだ』というタイトルの「君」が、登場人物ごとにあてはまるようになっており、2度3度繰り返し観たくなる内容に仕上がっていました。
また映像がものすごく綺麗。監督が数多くのミュージックビデオを撮影してきたということも影響してか、情感あふれる美麗な背景のシーンが多く採用されています。
気になる花澤さんの演技ですが、正直最初はどうなることかと心配でした。いくら子役をしていたとは言え、それは子役時代の話。まれに俳優が洋画の吹き替えなどで声優を行い「イメージと違う」というのがありますが、その逆の現象が起きてしまうのではないかと。
しかし、さすが数々の役を声で演じ分けてきただけあります。全く違和感を覚えない素晴らしい芝居でした。表情芝居でも感情の起伏をしっかり読み取れます。花澤さんの演技を気にして見始めましたが、開始10分もたたずに自然と物語に引き込まれている自分がいました。
美麗な映像に、叙情的な物語。花澤ファンでなくとも、映画として楽しめる一作でしたよ。