ファイルの添付し忘れといった可愛いものから、社外秘のデータを得意先に送ってしまったという笑えないものまで、誰もがやってしまいがちな“メールでの失敗”。ビジネスメールのマナーを手とり足とり教えてくれる人気メルマガ『仕事美人のメール作法』では、以下のような典型的なメールの失敗例を5つ取り上げ、その対応策を紹介しています。
ケース1:相手の名前を間違えていた。
ケース2:敬称を付け忘れてメールを送信していた。
ケース3:添付ファイルの付け忘れ。
ケース4:NGな内容のメールを送ってしまった。
ケース5:相手から返信がない、返信が遅い。
ケース1:相手の名前を間違えていた。
タイプミスや思い違いで、相手の名前を間違えたままメールを送信してしまった……。
あってはならない初歩的なミスですが、間違いに気づいた時点ですぐに名前の表記を正し、お詫びのメールを送ります。
「お名前を書き誤り、申し訳ございません。大変失礼いたしました」
このときメールの内容は、名前を間違えたことのお詫びに徹します。
他の用件を盛り込むと、「お詫びのついでに」「ついでのお詫び」という印象を相手に与えてしまい、結果的にお詫びになりません。
逆に、相手に自分の名前を間違えられてしまった場合。
相手が間違いに気づいてないと分かった時点で、「私の名前は○○と申します」と早い段階で伝えておく方がよいでしょう。
訂正の切り出し方は、相手との関係性により変わります。
相手が故意でなく、うっかり間違えたのだと分かれば、用件の後に「ちなみに、私の名前は……」と付け足す程度でよいでしょうし、見知らぬ相手からの売り込みメールや不愉快な内容のメールには、名前を間違えていることを理由にきっぱり断ったり、拒否したりすることもできます。
いずれにせよ名前の間違いは、間違えた方も、間違えられた方もきまりが悪いものなので、送信前によく確認することが大切です。
ケース2:敬称を付け忘れてメールを送信していた。
名前も社名も間違えていないのに、敬称を付け忘れたままメールを送っていた……
これも“痛い”ミスですが、気づいた時点ですぐに非礼を詫び、敬称を付けたメールを再送します。
お詫びの一文には、「すみません。○○様の宛名に敬称を付け忘れていました」のように、「忘れた」という言葉は印象がよくないので
「敬称のない宛名でメールを送ってしまい、大変失礼いたしました。お詫び申しあげます」
のような言い回しの工夫を。
相手の社名のほか、相手の商品名やサービス名など、重要な語句を間違えてしまった場合も、メールの冒頭に次のような一文を添え、正しい文面のメールを再送します。
(社名の間違いの場合)
「社名を誤って表記しておりました。大変申し訳ございません」
(商品名などの間違いの場合)
「文面に間違いがあり、大変失礼いたしました。改めてこちらをご覧ください」
自分にとっては「うっかりミス」でも、相手からすると、社名や商品名などを間違えたメールは、自社が軽んじられているという印象を抱き、いい気持ちはしないものです。
「相手の心をつかむメール」の第一歩は、こうした基本的なポイントをきちんと押さえたメールです。
送信前に必ず読み返し、抜けや間違いがないように気をつけましょう。
ケース3:添付ファイルの付け忘れ。
「それでは、資料を添付してお送りします」と送られてきたメールに、添付ファイルがない……。よくあるうっかりミスです。
メールにデータを添付して送信する場合は、送信前に添付を確認して送信ボタンを押すのが基本ですが、メール送信後に添付忘れに気づいたら、その時点ですぐに添付メールを送信します。
その際、
「肝心のファイルを添付しそびれており、大変失礼いたしました」
といったひと言を添えて再送を。
相手がファイルを添付し忘れていて、再送を促す場合は「ファイルが添付されていませんでした」……では少々素っ気ないので
「先ほどのメールに○○のファイルが添付されてないようです。恐れ入りますが、再送していただけますか」
とすれば、丁寧かつ文全体の印象がソフトになります。
相手も「しまった!」と思っているので、やんわり促す言い回しとして、「再送してください」の代わりに「再送していただけますか」と、問いかけ調にするのがポイントです。
その前に添える「恐れ入りますが」は、社内のやり取りであれば省いてもよいでしょう。
ケース4:NGな内容のメールを送ってしまった。
相手に見せるつもりのない内容……例えば、下書き段階の原稿や企画書とか、予算の内訳といった資料を、誤ってメールに添付してしまった。
あるいは、送るべき相手を間違えて、社内の営業担当者に宛てたメールを、担当している客先に送ってしまった。
想像するだけで身の毛のよだつミスです。
しかし送信したメールは、元に戻すことも、追いかけて消すこともできません。
送るべきではない内容、送るべきではない相手に、誤ってメールを送信してしまった場合は、気が付いた時点ですぐに次のように削除を申し出ます。
「先ほど送信したメールに、誤って別のファイルを添付してしまいました。恐れ入りますが、開封せずに削除をお願いいたします」
「先ほど、送付先を誤ったメールを送信してしまいました。申し訳ありませんが、直ちに削除をお願いいたします」
このような一文を添えたうえで、本来送るべきだったファイルを添付したり、伝えるべきだった内容のメールを送信したりします。
実際は、誤送信したメールの添付ファイルや内容を、相手がすでに見ているかもしれません。
しかし、「削除してください」と伝えることで、「そのデータやメールの内容は、見てはいけないもの」という意思表示になり、相手もそれ以上その内容に触れることはできなくなります。
手遅れと諦めずに、相手に意思表示することで、それ以上情報が広がらないように抑制するのです。
このような事態を招かないためには、データの管理をおろそかにせず、ファイルに分かりやすいタイトルを付け整理・保存を。
うっかり誤送信してしまわぬよう、「メモ帳」などに下書きして、仕上げたものをメール送信するといった“ひと手間”を惜しまないことも大切です
重要な内容ほど、送信前に慎重に確認する習慣を身に付けましょう。
情報漏えいは、こうした小さなうっかりミスが引き金となります。
ケース5:相手から返信がない、返信が遅い。
出欠の有無、依頼に対する対応の可否、問い合わせに対する返答など、待っているのに相手からの返信がないということがあります。
確認を急いでいるときほど、なかなか返信をくれない相手に対するイライラした気持ちが、メールにも反映されてしまいがちです。
「○○の件、どうなっていますか?」「△△の回答はまだですかね」といったストレートな催促は、先方が「今、送ろうと思っていたのに」というようなときや、「こっちだって大変なんだ」という状況の場合は、反感を買うこともあるので注意が必要。
メールを受け取ったことや送信したメールの内容を、相手が忘れていることもあるので、確実な返答がほしい、急いで確認したいという場合は、メールから電話に切り替えた方が得策です。
その際は次のように切り出します。
「先日、メールでお伝えしたのですが○○の件はいかがなりましたでしょうか?」
「○○の件はいかがなりましたでしょうか?」の部分は、「○○はご出席(参加)いただけますか?」「○○のご返答をまだいただけてないようなのですが」と、内容に合わせてアレンジを。
上記のフレーズは、メールで催促・確認する場合も応用して使えます。
期日が近づいている用件や、相手の対応状況が分からず不安を感じたときは、
「○○の件はいかがなりましたでしょうか?」
期日を過ぎても連絡がない場合は
「○日にはご連絡(ご提出)をいただけるとのことでしたがいかがでしょうか」
といった感じで打診します。
「当方の作業は8割がた完了しておりますので、(相手の作業分)をいただき次第、仕上げにかかります」
「△△様の必要部数のご連絡をいただき次第、見積もりをとりますので、できましたら本日中にご連絡いただければ幸いです」
……のように、こちらの進行状況や段取りを具体的に知らせるのも、一つの方法です。
軽く相手にプレッシャーを与えることで、相手の対応を急いでもらう効果をねらいます。
お互いが相手の状況が見えないために、返信や対応が滞る原因になっている場合は、催促のメールは角が立たないよう言葉を選びつつ、自分の方も困っている、待っているという実情を伝えることも必要と考えます。
『仕事美人のメール作法』
著者/神垣あゆみ
広島を拠点に活動するフリーランスのライター。若手ビジネスマン向けにメールマナーの基本を解説した『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など著作多数。まぐまぐから無料メルマガ『仕事美人のメール作法』を配信中。
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