新たなマンガの著作権管理とライセンスビジネスモデル
マンガは日本を代表するサブカルチャーであり、海外の人気も高い。また、東京のストリートファッションも世界から高い評価を受けている。しかし、マンガのコンテンツをファッション商品やブランド展開する例は非常に少ない。
最も大きな原因は、複雑なライセンス契約にある。一業種一社、一アイテム一社という縛りがあると、新規参入は難しい。
また、ミニマムロイヤリティの金額も問題である。通常、ライセンス契約にはミニマムロイヤリティとライセンス使用料(売上の歩合)が同時に設定される。売れるか売れないかが分からない段階でミニマムのライセンス料を支払い、更に生産数量に関してロイヤリティを支払うことは、アパレルビジネスにとって非常にハードルが高いのだ。
サンリオの「ハローキティ」は、売上歩合の率は高いが、ミニマムロイヤリティーがない。そのため、数量限定のコラボ企画の事例が多い。
もし、出版社、印刷企業等が話し合い、一業種一社等の縛りを撤廃し、ミニマムロイヤリティをなくし、歩合というよりも本物であることを証明する証紙や織ネームを製品に付けるような仕組みにすれば、利用する企業は増えるだろう。
ただし、ブランドイメージを下げないように商品のアプルーバルは行うべきだと思う。そして、ライセンス商品は全てWEBに公開する。その際、企業名、品番、小売価格だけでなく、欧米並にサプライチェーンのトレーサビリティを義務付けることが望まれる。
それにより、環境問題、人権問題等のCSR(企業の社会的責任)をクリアすることが可能になる。マンガのライセンス商品は社会的責任を果たしている、社会に貢献する商品であるというイメージを訴求しなければならないだろう。
この仕組みを出版社が単独で構築することは非常に難しい。といって、アニメのように、広告代理店、テレビ局、映画会社が権利を縛りすぎるとライセンスビジネスの広がりがなくなってしまう。
紙媒体のマンガは、アニメとは権利ビジネスの仕組みを切り分けて、出版社、印刷会社による一般社団法人、有限責任事業組合、株式会社等の新たな著作権管理団体を設立し、新しいビジネスモデルを展開するべきではないか。