書店の店頭イベントとの連携
新しい商品を作ることができても、どこで販売するかが問題になる。
現在、アパレルビジネスは店頭販売からイベント販売、ネット販売へと転換している。
かつては、店舗を増やすことが売上と利益を保証することにつながった。現在は固定店舗を持つことは、経費が固定することを意味する。単に店を出しても利益を確保することはできない。
小売店が不調なのは、書店も同じだ。アマゾンなどのインターネット通販、ブックオフ等の古本流通が成長するにつれ、既存の書店の売上は減少している。
ファッション業界においても、アパレル企業の事業部廃止、店舗の大量撤退が続いている。一方で、ファッション雑誌の廃刊も続いている。現在では、ファッション雑誌よりも、ブログやSNS等の影響力が強まっているのだ。
ファッション業界も出版業界も時代の変化の中で、既存の事業モデルが成立しにくくなっている。
もし、マンガのキャラクターを使った商品開発を進めることができれば、書店の店頭で書籍以外の商品を販売するイベントを開催できる。これまでマンガ雑誌やマンガ単行本を販売するプロモーションは、平積みにしてPOPを出す程度だった。
コスプレイベントや撮影会、限定商品の販売等を組み合わせるインストアイベントを行うことができれば、ニュース性も高まり、集客力も高まるに違いない。
開発した商品は、ネット販売と書店でのイベント販売を中心に展開することで書店、出版局にも相乗効果が期待できると思う。
新しいモノ作りの仕組み
これまで、マンガのライセンス商品と言えば、子供服や子供靴、子供用玩具等が中心だった。マンガの読者は大人が多いにも関わらず、大人向けライセンス商品が存在しなかったのである。
その理由の一つは、マンガをそのままプリントするような安易な商品が多かったからではないか。プロのファッションデザイナー、テキスタイルデザイナーが本気でそのマンガをリスペクトし、本気でデザインに取り組めば、大人の鑑賞に耐えるような商品が生み出せると思う。
こうした完成度の高い作品が展開できるようになれば、海外のマニアを惹きつけることができる。そうなれば、書店が観光拠点としても機能するかもしれない。
その上で、一点モノの商品で販売するのも良いし、ある程度の量産を進めるのも良い。全てを大量生産しようとすれば、どうしても幅広い顧客層を対象にしなければならず、尖った客層には届かない。
たとえば、クラウドファンディングのような仕組みの受注サイトを作る。サンプルを提示し、生産ロットが満たされる受注が集まれば本生産するというシステムである。
国内のプレタ工場で凝った製品をつくるのであれば、20枚限定という考え方もあるだろうし、中国の工場を使うなら200枚、東南アジアの工場を使うなら1000枚という設定も可能である。
一枚から数万枚までのビジネスが可能になれば、グローバル展開も可能になるだろう。
image by: Tofudevil / Shutterstock.com
著者/坂口昌章(シナジープランニング代表)
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