たとえば地方の郡部。そもそも若者がいないから、若者の権利もクソも無い。単に東京から降りて来る交付税と地方債で食いつなぐだけ。ここで若者の権利、年寄りの権利を議論しても虚しい部分はある。
しかし、国全体を見ると、そもそもシルバー・デモクラシーに互して、若者の意見を政治に反映させられるだけの若者がこの国にはもういなくなりつつある。それはもう都会でも全くその通りで、確かに都会は若者も多いけれど、実はそれ以上にお年寄りも多い。この日本で、シルバー・デモクラシーから逃れられる地域は最早何処にもない。
これは、人類の政治史の中で、自由選挙が民主主義と供に発展し始めてから、世界のどの国も経験したことが無い未曾有の現象です。納税もしていなければ、働いてもいない、そして福祉予算の大半を食いつぶしてしまう老人が、政治に対して最大の発言権を持ち、それは拡大する一方にある。こんなことは文明の歴史上一度も無かった。
何が起こるか? 恐ろしいことが起こりますよ。今は、お年寄りには戦争の記憶があり、戦後のひもじさも経験し、いかなる海外派兵もダメだと判断するだろうけれど、やがてはその記憶も無ければ、戦争の悲惨さも知らないお年寄りが、シルバー・デモクラシーの中核を成すようになる。その時、地球の裏側で何かが起こって自衛隊を出す出さないと議論になったら、そのコア層は、どうせ自分が行くわけじゃないから(ついでに自分の息子もとっくに徴兵年齢は過ぎ&結婚しそびれた息子には孫もいない)、日の丸を立てて来い、と気軽に自衛官を送り出すかも知れない。
これは明らかに正常な事態ではない。極めて異常な事態です。その状況下で、自由選挙の精神を守りつつデモクラシーを回して行くには、1票の重さに軽重を付けるしかないでしょう。最早、1票の重さは平等であると呑気なことを言っている場合では無い。お年寄りがどうしても選挙権を失いたくないというのであれば、現役世代の1票を重くするしかない。
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『日刊 大石英司の代替空港』2015.5.20号より一部抜粋
【2015.5.20号の目次】
- 「投票に行かない若者が悪いだけ」という言説の恐ろしさ
- ケリー国務長官、歴史問題で韓国にも歩み寄り求める 韓国メディアはいつも通り「解決には日本の努力が必要」と捻じ曲げる
- 韓国国防相、日本念頭に歴史批判 「修正主義で対立を増幅」
- 米専門家が日韓関係の「大妥協構想」提案、その驚きの中身に韓国ネット反発「歴史を忘れろと?」「良い提案だが日本は受け入れないだろう」
- 14年度の実質賃金3.0%減
- 1~3月期GDP、年率2.4%増 設備投資プラスに
- 密航船:EU軍が押収、破壊をリビア沿岸まで拡大する作戦
- 誰が責任取るのか…「屋根なし」新国立に舛添氏
- 米誌が選ぶ「日本の5大武器」が中国ネットで話題、「たった5つかよ」「日本の必殺武器は『団結の精神』だな」
- [文谷数重]【オスプレイと基地、どちらが大事か明白】~ハワイでの墜落
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著者/大石英司
作家、鹿児島県出身、川崎市高津区在住。国内外の注目ニュースに関して alternative な視点を提供するメルマガはビジネスマンなら必読です。
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