【書評】なぜ世界最大級の駅「新宿」攻略本がビジネスにも役立つか

2016.04.26
by NozomiK
 

さっそく、いくつか気になった点をチェックしていきましょう。

江戸の城下町は、城壁で城を守ったわけではなく、城下町にT字路をいくつも挿入することで迷路のような街路をつくり、攻め入る敵を攪乱させる都市構造をもった。敵が本丸に到達するよりずっと前で本丸を守ったのである

皇居から山間の甲府をつなぐ旧甲州街道のうち、新宿周辺はこの尾根道を利用して道がつくられた

尾根筋が2つの谷、すなわち2つの水系の間にできるということは、水は尾根筋で左右(新宿の場合は南北だから地図上は上下)に分かれているということだ。そしてこの尾根筋で生活文化圏が2つに区切られるのは自然なことだろう。尾根は自然がつくり出す1つの壁の役割をもち、行政区分も尾根筋を使用することがある。新宿駅周辺の新宿区と渋谷区の区境も、まさにこの旧甲州街道の尾根に沿っている

実は山手線で一番標高が高い駅は新宿駅である。これは東京の地形が西から東へ下がっているのを知っていれば想像できる

内藤新宿とは、実は浅草の商人たちがプロデュースした「テーマパーク」だったのだ(中略)ここに現在まで続く新宿の2つの性格が誕生した。人のターミナル「駅」としての新宿、そしてもう1つが「性」の面をもつ新宿である。浅草商人たちの内藤新宿の企画・構想は的中した。そして大いに繁栄したのだが、その盛り上がりは風紀が乱れるほどであったようで、1718年に突然内藤新宿は廃止される

ル・コルビュジェの近代都市計画は明解である。それは
(1)都市の中心の充血を散らすこと
(2)密度を高めること
(3)交通手段を増すこと
(4)植え込みの面積を増やすこと

ル・コルビュジェの著書『ユルバニスム』の中に、道についての示唆に富む記述があるので引用する。人間は、目的をもつゆえ真直ぐ進む。人間は行く先を知っている。どこかへ行こうと決心し、そこへ真直ぐ進む。ろばはあちらこちらし、放心し気が散ってちょっと立止まり、大きな宝石をよけるため、坂を避けるため、影を求めるため、あちらこちらする。できるだけ努力をしない──『ユルバニスム』(樋口清訳・鹿島出版会)より

「人間の道」と「ろばの道」のバランスをどのように保つかが、現在そして今後の都市のテーマであろう

2020年の完成を目指して現在進行中である「新宿駅東西自由通路」(中略)北連絡通路は、東口と西口を繋いでいるのだが、切符がないと通り抜けができなかった。しかし今回の計画では、この地下通路を切符をもたずに自由に行き来できるようになる

人が集まる場所には、必ず繁栄するビジネスが生まれます。世界を代表する繁華街、新宿の成り立ちを知ることで、どうすれば人を集められるか、きっとよいヒントが見つかるはずです。ぜひチェックしてみてください。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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