それでも進める核のリサイクル。新法人「再処理機構」の危ない正体

 

ならば、新法人と日本原燃はどういう関係になるのか。再処理の事業主体は新法人なのか、原燃なのか。

実は、再処理工場というのは原子力発電所以上に危険な施設である。しかも日本にはもともと再処理の技術などない。フランスの技術を導入して六ヶ所村の工場をつくったのだ。

もし、再処理の過程で事故が起きた場合、どこが責任を負うのか。その点について、3月15日の参院予算委員会で、民主党の大塚耕平が質問した。林幹雄経産大臣はほとんど自力で答弁できず「勉強不足」を自ら認めたが、いちいち官僚に聞きながら、たどたどしく説明した。

大塚「使用済み燃料の処理の過程で事故が起きたら誰が責任をとるのか」

「安全確保に関する責任は原子力事業者や再処理事業者が負う」

再処理機構は事故が起きても責任はないというのだ。だが、改正法案の9条にはこうある。

機構は特定実用発電用原子炉設置者が拠出金を納付したときは認可実施計画に従い、当該拠出金に係る使用済燃料の再処理等を行わなければならない。

そして、今年1月にまとめられた資源エネルギー庁の「使用済燃料の再処理等に係る制度の見直しについて」という資料によると、「新法人が日本原燃に再処理事業の実施を委託する」となっている。

認可法人「再処理機構」が事業主体であり、日本原燃は委託先として位置づけられている。なのに、「再処理機構」なるものが安全確保に責任を持たないというのは、どうにも合点がいかない。

大塚はその点を確認するため「新法人は原子力規制法の対象になるか」と質問した。正確には「原子炉等規制法」のことだろう。「再処理事業」に関して原子力規制委員会の許可を得なければならない対象かどうかというのが質問の趣旨だったと思われるが、林大臣は「(対象に)なりません」と答えた。

大塚は「法案の第9条には、この機構が使用済み燃料の再処理等を行わなければならないと書いてあるが、それでも機構には責任はないのか、なぜ責任がないのか」などと、食い下がった。これに対する林大臣の答弁は、新法人の設立があくまで拠出金制度を目的としており、経済的な責任はあるが、安全管理の責任は日本原燃にある、というものだった。

結局、新法人「再処理機構」は、電力会社から拠出金を受けとり、再処理事業を日本原燃に委託して、カネを右から左に流し、その事務作業のために職員をはりつけるという、お気楽な天下り法人であるらしい。

ならば国は全く再処理の安全性に責任はないのかというと、そうでもない。大塚が「再処理が安全に行われることを国民がのぞんでいるわけで、そこについて国は責任はないというたてつけですね」と問うと、林大臣はこう答えた。

「責任がまったくないことはない。役員の任命など人事の責任もある。事故が起きたらしっかり責任をもって対応する。まったくゼロではない」

どうやら原子力損害賠償法第3条但し書きのようなイメージで、事故が起きた時の国の責任を考えているようだ。

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け