新商品やサービスの売り上げを大きく左右する「ストーリー」。知名度のないブランドや製品だと、モノにまつわるストーリーがそのまま付加価値になると言われます。でも、どんなことを訴えればいいのでしょうか? メルマガ『ビジネス発想源 Special』では、顧客の注目を集める魅力的なストーリー作りのために、心掛けるべきコツを説いています。
何に一番時間がかかったか
商品の売れ行きは、ストーリーに左右されます。
ストーリーのある商品は強く、ストーリーのない商品は弱い。これはどなたも分かることだと思います。
例えば、お客様のこんな不満から生まれたサービス、開発者のこんな失敗から偶然生まれた製品、創業者がこれだけ世界中を探し回って見つけた商品、なんていうストーリーは、人を引きつけます。
AKB48は観客が数人しかいない舞台からスタートした、ももクロは代々木公園のストリートから始めた、など、アイドルや歌手もストーリーがあるほど人気で、ストーリーのない人は見向きもされません。だからこそ、商品やサービスをPRするには、ストーリーを語らなければなりません。
私はよくマーケティングの相談を受けると、「なるべく早くメディアを作って情報発信をするべきです」ということをアドバイスします。
新しく発売される新商品のPRをしたければ、一日でも早く、情報発信を開始しろと言います。それはなぜかというと、早ければ早いほど、1つでも多くストーリーが語れるからです。
例えば、具体的なパッケージ案が決まる前でも、「今、パッケージの選定に難航してまーす」というストーリーを発信できるわけです。
でも、このなるべく早く情報発信をするべき、というアドバイスを素直に聞き入れてくれる人は、まず1割もいません。
ほとんどの人が、そんなことはすっかり忘れ、ずっと情報発信をおろそかにしたまま時間が過ぎ、新商品の発売日ギリギリになって、「さあ、どうやってPRしたらいいんでしょう」と、即効的な方法を求めるようになります。
短時間で語れるストーリーは、短くなります。例えば、「構想3年!」と一言でいうのと、本当に3年間ずっとその構想を語り続けているのとでは、ストーリーの濃さが全く異なってきます。
それがただ情報発信の開始時期の問題だったら、ただ早めにやっておけばいいだけなのに、ほとんどの人が聞き入れてくれないので、もったいないなあ、と思ってしまいます。
では、最もPRするべきストーリーはどんなことかというと、一番分かりやすいのは、「最も時間をかけたことは何か」「最も時間がかかったことは何か」ということです。
例えば、ある食品のPRをする際に、「美味しい!」「新鮮!」「惚れ込む味!」なんていうのは、他社だって言うことです。だって「美味しくない!」「新鮮じゃない!」なんて言う人はいませんから。つまりそれはストーリーを語っているわけでも特徴を述べているわけでもないんですね。
そんな時には、何に最も時間がかかったかを考えます。例えば、味の調整に時間がかかってきたとしたら、「理想の調味料に会うまで3年かかった」「調味料の組み合わせを2500通り試した」など、数字だけでストーリーが述べられます。
食材の一つの調達に時間がかかったのだとしたら、「30ヶ国探し求めてようやく理想の食材が見つかった」「50個の候補の中から逸品を選び抜いた」といったストーリーが勝手に浮かびます。
そのストーリーは、宣伝のためのストーリーではなく実際にリアルな体験から紡ぎ出されたものだから、他社とは絶対に同じにならないストーリーです。
また、もし時間がかかったことが見つからない、というような製品やサービスであれば、そんなストーリーのないような商品はお客様には求められていないということです。簡単に作った、ということですから。
御社の商品やサービスにおいて、最も時間のかかったことは何ですか?
それに気がつけば、御社の商品やサービスには一気に分かりやすいストーリーがついてきます。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
・自社の製品やサービスで、開発時や提供時に今まで最も時間をかけたこと、最も時間がかかったことは何か。ノートに書く。
『ビジネス発想源 Special』
連載3,500回を超える人気メールマガジン『ビジネス発想源』に、週1回のSpecial有料版が登場! 御社の経営やマーケティングに活きる発想のヒントをいろいろとご提供していきます。お客様の信頼と評判が集まり、皆さんのご商売がもっと面白く、あなたのお仕事がもっと楽しくなるでしょう。毎週の発想のトレーニングにどうぞ。
≪無料サンプルはこちら≫