Made in Japanブームは終わる。大変革を余儀なくされたアパレル業界

 

10年後のアパレル業界の見取り図

大手アパレルのリストラが発表されたとき、「日本のアパレル業界はダメなんじゃないか」という危機感が広がった。しかし、ECは伸びているし、前述のユニクロや無印などグローバル化した企業は海外で事業を拡大している。アパレル業界がダメなのでなく、アパレル業界の勝ち方が変わってきたということなのだ。このように、大きな業界のフレームワークの変化を見れば、企業の進むべき方向は見えてくる。今後、アパレル業界は大きく3つのセグメントに別れ変化してゆく。

1. 高価格帯 百貨店アパレル(メーカー)

まず、その販路を百貨店に依存し、委託消化取引で百貨店とビジネスを展開しているアパレル(メーカー)である。このセグメントの企業は、特に地方百貨店の売り場縮小と販売力低下のあおりを受け、さらなるブランドや事業規模の縮小を続けてゆく。彼らは、今後もリストラや統合を進めてゆく。彼らの主販路である百貨店でも地方から淘汰が進み、ショールームのような形で売場の位置づけを変えてゆくかもしれない。こうした流れの中で、このセグメントは持久戦に持ち込まれることになる。

このセグメントの企業の特徴は、自らを「メーカー」(製造業)と定義していることだ。メーカーだから服を主体にしたビジネスにとどまるし(ものづくり以外の)販売は他人任せとなる。従って、良いモノをつくらせればピカイチだが、顧客の実態が正確に把握できていないのと、商品が高価格になってくるのが特徴だ。従って、主販路である百貨店の縮小や業態変化と歩調をあわせ、ダウンサイジングとデジタル化によるビジネスモデル改革、在庫の適正化、モノ作り機能の強化の3つを推し進め、高価格であることの合理性を見いだせるブランド開発を行うことが重要だ。このセグメントは、量より質を目指す。また、「バーバリーのコート」「モンクレールのジャケット」のような、「商品のブランド化」の開発が鍵となる。

2. 中・高価格帯 総合ファッションリテーラー

次に、ショッピングセンターや路面店などを主販路に持ち、その出自がメーカーでなく「小売り」である企業だ。代表選手は、セレクトショップやSCにブランド展開するSPAアパレルも含まれる。彼らの特徴は、売場の坪効率が上がれば、販売する商品は衣料品でなくともよいという割り切りにある。また、出自が「小売り」だから、商品よりも「お客様」を主軸にビジネスを組み立てる。

彼らの発想は極めてシンプルだ。「服が売れないなら雑貨をやればよい」、「自分でできないならM&Aで会社を買えば良い」というものだ。彼らの発想は常に「顧客」と「売場」が中心にあるから、極論を言えば商品はなんでもよい。このセグメントは、これから異業種をどんどん取り込んでゆき、アメーバのように業態を拡張しながらライフスタイル型企業になってゆく。

ただし、単にナショナルブランドを集め、差別性を失った旧来の百貨店業態の轍は踏まないことが大事だ。「お店」そのものをブランド化する「ストアブランド化」が鍵となる。前述のメーカー型アパレルのように「商品」にファンを作るのでなく、その「店」に対してファンを作る。ストアブランド化に成功した企業が「コト消費」を取り込み、このセグメントの勝者になる。

3. 低価格帯 SPAアパレルリテーラー

最後に、低価格を武器に最先端のITシステムとロジスティックスを駆使し、グローバルにビジネスを展開している低価格帯SPAアパレルリテーラーだ。外資ファストファッション、ユニクロなどである。このセグメントで勝とうとすれば、グローバルレベルで生産と販売を行わなければ、規模のメリットが享受できず、低価格と高収益が両立しえない。従って、このセグメントでは「世界化」が鍵となる

加えていえば、この規模のビジネスを下支えする最先端のITテクノロジー、および世界規模のロジスティックス整備が必要だ。彼らは、積極的に米国からデジタル技術を導入し、最先端の事例を取り込もうとしてゆく。このセグメントに参入できる企業は多くはない。大きな投資と巨大なインフラ必要なビジネスとなるからだ。

これが、私が考えるアパレル業界の将来像だ。こうした業界構造の変化を読み解き、自らの立ち位置を明確にした上で変化を取り込む必要がある。昨今の改革事例をみていると、2のプレイヤーが3をおこなったり、3のプレイヤーが2を行ったりとちぐはぐ感が目立つ。自社のポジショニングを明確にしたい。

【通用しない昔の改革手法】

企業改革の最前線にいると、判で押したようにQRによる「つくり増し」強化と、MD精度向上を決定打とする考えを耳にすることが多い。しかし、「勝ち組企業」の中に、「つくり増しモデル」を採用して成功している会社はほとんどない。「つくり増しモデル」に競争力が無くなってきた理由はシンプルで、生産時間短縮による犠牲の結果、商品完成度が下がったからである。ユニクロのように二年をかけて渾身の商品をつくる企業に、二週間の「やっつけ仕事」でつくった商品が勝てるはずがない。QRというのは、売れ筋と死に筋が存在していた時代の改革手法だが、今は、そもそも完成度の低いブランドの中に売れ筋はほとんどない。すべてが死に筋となる。だからQRをやっても通用しない。

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