ネットで「爆買い」されるメイド・イン・ジャパンの弱点

 

ファミマと日本郵政と企業連合

たとえば、ファミリーマートは日本郵政グループと提携して海外配送に参入している。国内の店舗で荷物を預かり、ファミマの海外店舗で受け取るシステムを整備している。海外からの訪日客が買った品物をファミマの日本店舗で預かり、母国に配送する。

ファミマは国内に約1万2,000店を持っているが、海外に約6,000店(このうち台湾は約3,000店)ある店舗を、荷物の受け取り拠点に活用しようというのだ。国内から海外までの荷物の物流は日本郵便が担い、訪日客は母国の店舗で荷物を受け取るというわけだ。ちなみに、2015年の台湾からの訪日客の消費額は約5,200億円で中国に次いで第2位。また、荷物の受け渡しだけでなく、ゆうちょ銀行とファミマはATM事業でも協力する予定で、現在500台あるATMを2017年度から2年で3,000台増やす計画だという。

東南アジア通販のトップはドイツ・ロケットグループ

実は東南アジアのインターネット通販市場は、いまや地場企業もからんで猛烈な競争になってきたと言われる。日本やアジア系だけでなく、欧米系もどんどん参入しているのだ。なかでも、ドイツのロケット社が2012年に東南アジアに設立したLazada(ラザダ)はずば抜けており、タイの通販市場規模14.4億ドルのうち17.1%を占め1位。以下同様に、6.9億ドルのベトナムでは9.3%、16.8億ドルのインドネシアでは29.2%、9.7億ドルのシンガポールでは6.3%、5.1億ドルのマレーシアでは27.9%、3.5億ドルのフィリピンでは34.0%のシェアを占めている。

シンガポールを除くと、他の5カ国ではいずれもLazadaがシェア1位で、同サイトへの月間訪問者数はインドネシアが1,027万人、ベトナムは473万人に達している。2位以下の外資ではアマゾン(米)、アリババ(中)、アップル(米)などが目立つが、上位にはインドネシア、ベトナム、タイ、シンガポールなどでの通販が健闘しているのだ。

売上げ規模は、東南アジア6カ国を合わせて60億ドルに上ろうとしていて、月間訪問者数も3,000万人に達している。こうした通販大手に対し日本は完全に出遅れており、ようやくアジア通販に気がつき始めたと頃と言えようか。

爆買いブームの後を狙え

しかし、アジア通販でシェアを取るには、物を運ぶ物流インフラを整えないと勝てない。ヤマト、日本郵便、海外のコンビニなどとの連携が急がれよう。日本の製品、デザイン、安全性、品質には絶対の信頼がある、ここ23年が勝負時だろう。

外国人のインバウンド観光客の伸びに満足していると、買い物は通販、旅の楽しみは旅館や日本の四季や文化、おもてなし、などになっていくだろう。爆買いブームはせいぜいオリンピックまでの4、5年で終わるのではないか。大きな荷物を持って帰る旅行には、いずれ飽きが来るだろう。ネットの買い物増大は日本だけではないのだ。日本の企業地方のユニークな製品を作っているところは、アジアのネット通販に挑戦してみてはどうか。

image by: Shutterstock

 

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