悪魔も認める天上の味。鹿児島発「揚げピザ」は九州復活の起爆剤となるか?

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九州南部をウロチョロ放浪中の、『ママチャリで日本一周中の悪魔』こと大魔王ポルポルさん。前回の「軍国酒場」に続いて訪れたのは、同じく鹿児島にある「揚げピザ」なる耳慣れない料理を提供するお店。ところがこの「揚げピザ」、大魔王にとっては大ヒットのお味だったようで……。

新食感!ピザを折りたたんで揚げる「揚げピザ」のお味は?

軍国酒場を後にした我輩は、次なる目的地へと向かうべく、ママチャリで国道10号線を疾走していた。

桜島から吹き上げられる噴煙によって、我輩の全身はすでに灰だらけになっていた。元々が真っ黒な容姿なのに、それにプラスして黒い灰に覆われているわけだが、そんなことはまったく気にならない。それどころか、火山灰の上で野宿するのも苦ではない。

そう我輩は、どんなことが起きても動じない最強の身体になっていたのだ。

「ガッハッハッハッハッハ!! 我輩の魔力により、着々と鹿児島は“かごし(魔)”に変化しているぞ!! これは素晴らしい!! この勢いで、九州を一気に征服してしまうのだ。ガッハッハッハッハッハ!!」

そんなことを夢想しながら、ニヤニヤ顔でママチャリを走らせていると、前方になにやら怪しい看板を発見した。

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そこには「チーズカレー300円」との文字が。その衝撃の価格に、我輩は思わず驚愕した。

「な……な……なに!! カレーが300円だと!!」

貧乏な征服の旅を永らく続けている我輩。“激安”には目がないのだ。

心躍るのを抑えつつ看板の矢印が差す方向を見ると、海岸線を通る道の駐車帯に自動販売機と建物が並んでいる。その建物は飲食店のようで、ひとつはクレープ屋さん。そしてもうひとつが、例のカレー店のようだった。

さっそくそのカレー店に忍び寄る我輩。「OMZ(オムズ)」と書かれた大きな看板の下にある入口から、店の中をそっと覗こうとする。

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しかし、そこで供されているのはカレーではなく、どうやらピザのようだった。

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「な、なんだ!! ママチャリで爆走しすぎて、異国まで来てしまったのか? そのうえ、カレーでインドかと思いきや、実はピザでイタリアではないか!! ガッハッハッハッハ!!」

節操がないのを通り越し、何ともムカつく店である。これは支配するしかない……我輩はそう決意した。

 

意気揚々と入った店の中は、ピザの匂いが充満している。とてもじゃないが、カレーが出てきそうな雰囲気ではない。

店の奥では、店員が一心不乱に生地をこねている。メニューを見てみると、ピザの種類も意外と豊富だ。

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ついさっきまで“ムカつく”とか言っていた我輩だったが、その店が放つなんとも言えない空気が、なんとも心地が良いことに気付いた。

「ガッハッハッハッハ!! 我輩はこの店が気に入った!! ここを九州征服の拠点にしてやろう!!」

まるで不審者のような怪しい目つきでつぶやくが、店員は生地をこねるのに必死のようで、こちらにはまったく気が付いてない。我輩はそんな店員を呼び止め、記事で取り上げることの許諾を得て、さっそく例の激安カレーを注文した。

ところが、である。その店員はなんと、

「このお店のオススメは揚げピザなんだけどねぇ……。せっかくだから、揚げピザを食べて宣伝してよぉ~」

と、我輩に命令してくるではないか。

「な……なんだ!! 初めからカレーを売る気などなかったのか。はたまた我輩へのか!! くそっっ!!」

カレーとピザ、どちらを選ぶべきか。我輩は大いに迷ったが、結局のところは、

「じゃあ、せっかくなんで、この揚げピザとカレーの両方をお願いします」

と、どっちも注文することにした。

この店はいったいピザを売りたいのか、それともカレーが売りたいのか……。

でも、そんなことはどうでもよくなっていた。そもそも、おいしいものに国境も何もないのだ。それは魔界でも同じ。おいしいものは魔界でも美味しい……それが我輩のポリシーだ。

「この店は、まだ食べログには載ってないようだな。もし揚げピザがとびっきりウマかったら、我輩がこの店の評価を一番に載せてやろう……かな。ガッハッハッハッハ!!」

ニヤニヤしながら妄想をしていると、店員は再び我輩に命令をしてくる。

「あのー。ニヤニヤしてないで、ピザの味をどれか決めてください」

「あ。すみません……。この店のオススメはなんですか?」

「大魔王様。一番の人気は照り焼きチキンですよ」

「ふん! では、そ、それを頂こ……それでお願いします」

 

ところで「揚げピザ」とは果たしてどんな料理か、知らぬ者も多いことだろう。ひと言でいうならば、ピザ生地に具を乗せて2つ折りにしたものを、そのまま油で揚げた食べ物である。

ただ、先ほども紹介した通り、この店の隣にあるのはクレープ屋さん。両方とも具を生地で折りたたんで食べる料理を主に出すということで、若干カブってしまっている。そんなこともあり、隣にお客さんがかなり流れてしまっているのが、店の悩みなんだそうである。

そんなことを話しているうちに、我輩の頼んだ揚げピザが完成したようだ。店一番のオススメである照り焼きチキンの揚げピザには、鶏肉にくわえてレタスも入っているとのこと。見た目もなかなかオシャレで、それでいて食べやすそうだ。

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「大魔王様! どうぞ、お召し上がりください。」

湯気をあげるアツアツの揚げピザを前にして、思わずヨダレが溢れそうになる。

「な……なんとウマそうなのだ。ガッハッハッハッハッハ!!」

パイのような見た目。このピザを手にしているだけで、ワクワク感がみなぎってくるような、そんな気がする

ハフハフしながらひと口食べてみる。すると、まるで天使のような気持ちになった。

「ほ……宝石が詰まっておる

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こんな食べ物がニンゲン界に存在したのか……。魔力がみるみるうちに漲るような、そんな不思議な味だ。

揚げピザの得も言われぬ味わいに、思わず魅了されてしまった我輩。すると、そこにチーズのかかった一皿のカレーが出てきた。揚げピザと一緒に頼んでいた、あの300円激安カレーだ。

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さっそく、カレーをひと口食べてみる。しかしその味は、先ほど食べた揚げピザの衝撃度に比べると、いたってフツーだった。

「な、なんでこんなに味の高低差が激しいのだ!!」

カレー屋と思いきやピザのほうがウマい、しかも普通のピザではなく「揚げピザ」である。よくも、こんな隠れたオモシロいお店を見つけたものだ。……我輩がそう悦に入っていると、店員がもうひとつ別の揚げピザを用意してくれるという。しかも、それは特別なものらしかった。

「だ、大魔王様! 夏に向けて新作の揚げピザを考えたんです。まだ販売していません。ぜ、ぜ、ぜひ食べてみてください!!」

「え! 試食段階ですか!! 是非、食べたいです!!」

我輩は揚げピザに恋をしていた。いや、もはや揚げピザに支配されていたと言っても過言ではない。

程なくして我輩の前には、バニラアイスを包み込んで揚げたという、新作の揚げピザが献上された。

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「これは素晴らしい!! 我輩は甘党だ。激辛の物など食べられぬからな!!」

頭のなかにふと、広島で激辛担々麺と格闘した思い出が蘇ったが、そんなことはどうでもいい。

甘くておいしそうなバニラアイスの揚げピザを見ると、再びヨダレがしたたり落ちてくる。我輩はたまらずそれに噛り付いた。

「な、な、なんだ。これは!! 素晴らしいぞ。……熱くて甘い味だ。略して“アツアマ”だな。ガッハッハッハッハッハ!!」

我輩はすっかり、この不思議な食べ物の世界の住人になってしまったようだ。住民票もしっかり提出して。

したたれ落ちるヨダレとバニラアイスが一体化したその代物を、我輩はぺろりと平らげてしまった。この世界観、実に素晴らしい

大満足の我輩は、店の前に広がる鹿児島湾を眺めながら、こう思った。

「この食べ物、もっと広く知れ渡るべきだ。……いまは地震でちょっと元気のない九州だが、近いうちに復活した暁には、この揚げピザが鹿児島どころか九州の名物となり、日本全体を盛り上げてくれるに違いない。ガッハッハッハッハッハッハ!!」

モクモクと噴煙を上げる桜島を背にし、再びママチャリにまたがった我輩。次なる目的地である宮崎に向けて、力強くペダルを踏み始めた。

 

DATA:
OMZ(オムズ)
住所:鹿児島県鹿児島市吉野町9998
定休日:木曜日
営業時間:9:30~20:30
電話番号:なし

 

『大魔王ポルポルの日本征服の旅』
著者/大魔王ポルポル
日本一周の旅をしている大魔王ポルポルである。旅の裏側、隠れた小話など話したいことは盛り沢山!! だがしかし! タダで公開はできない。メールマガジンで日本のいろいろなことを掲載するのだ。メルマガに記載のアドレスに悩みや質問を送ってくれればメルマガで公開回答するぞ! ガッハッハッハ!!
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