カルロス・ゴーンの不意打ち。日産・三菱「電撃」提携を各紙はどう報じたか?

 

疑惑も解明を

【東京】は1面トップを、オバマ米大統領による広島訪問関係の記事に譲り、2面の解説記事「核心」とその他のいくつかの記事、5面に社説、7面経済面にも記事。見出しは以下に。

  • 三菱自ブランド存続
  • 日産、会長ら取締役派遣
  • 不正体質一掃なるか
  • 「ゴーン流」経営再建
  • ユーザーの信頼回復策 見えず
  • 三菱自、疑惑も解明を(社説)
  • 次世代エコカー覇権争い
  • EVで燃料電池車に対抗
  • 日産は過去最高益5238億円

uttiiの眼

《東京》は7面の経済記事で、世界の主な自動車メーカーの提携図を載せている。燃料電池車の普及を図るトヨタやホンダに対して、電気自動車で対抗しようとする日産や三菱との大きな対立構図。次世代エコカーをめぐる覇権争いという位置づけだが、日産と三菱自の提携から何かエポックメイキングな製品が生まれるかというと、そのような期待感はない。提携話に併せて、エコカーをめぐる基本的な構図を整理した記事に止まっている。

他方、昨日の「1面トップジャック」事件では、《東京》も「被害者」。今朝の紙面では、社説でリベンジを果たしている。タイトルは「三菱自疑惑も解明を」。

疑惑を」ではなく「疑惑もとしたところに東京の意地を観る

社説は、今回の提携話を経営危機の中での「ぎりぎりの判断」と受け止めつつ、それでも「疑惑の全容解明は必要だ」とする。特に、いまだに「誰の指示、判断で不正が行われたのかという核心部分」は明らかになっておらず、「不正会計の東芝と同じく、閉鎖的な企業風土の中で上層部からの暗黙の圧力指示が原因だとすれば、グローバル化が進む中、日本的経営のあり方に関わる問題となる」と指摘。燃費偽装問題を追及し続ける正当性を明らかにしている。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

しかし、ゴーンさん強かですね。この提携の裏にどんな条件が隠れているのか分かりませんが、その一部はやがて明らかになることでしょう。

ゴーンさん流のリストラは、鴻海ほど荒っぽいものではないかもしれませんが、それでも、やることはキッチリやるのでしょう。三菱自動車はいずれバラバラにされ、有用な部分だけが日産の一部として残り、やがて誰もそのことを意識しなくなっていくのだと思われます。丁度50年前に日産に吸収されたプリンス自動車も、今は、スカイラインというクルマの名にその残影をとどめるばかりとなりました。

image by: Chris Warham / Shutterstock.com

 

uttiiの電子版ウォッチ』2016/5/13号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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