アメリカは、「世界支配」を目指し、失敗した
「冷戦」という米ソ「二極世界」が崩壊した。そして、「一極世界」になった。これは、冷戦が終わったので、必然的にそうなったのです。「もはや敵が存在しない世界」でアメリカは、どう振る舞おうとしたのでしょうか? 答えは、「アメリカが単独で世界を支配する」です。その方法について、アメリカ在住政治アナリストの伊藤貫先生は、こう解説しておられます。
1991年秋にソ連が崩壊すると、アメリカ政府は即座に次のグランド・ストラテジーを構想した。それは「国際構造の一極化を進める。今後はアメリカだけが、世界諸国を支配する経済覇権と軍事覇権を握る。アメリカに対抗できる能力を持つライバル国の出現を許さない。
『自滅するアメリカ帝国』 p8
要するに、アメリカは「世界を支配する!」と。そして、アメリカの潜在敵は、4国あるんですね。
- ロシア
- 中国
- ドイツ
- 日本(!!!)
すでにほぼ半世紀も「アメリカの忠実な同盟国」としての役割を果たしていた日本とドイツが、米政府の機密文書において冷戦後のアメリカの潜在的な敵性国と描写されていたことは、「外交的なショック」(ワシントン・ポスト紙の表現)であった。
(同 p62)
なにはともあれ、アメリカは冷戦後「世界支配」を目指した。これは、「誇大妄想的で不可能な欲望」といえるでしょう。しかも、「民族主義的」です(「アメリカ民族」というのはないにしろ)。
当然、世界中の大国が反発を強めることになりました。フランス、ドイツ、ロシア、中国などは、「多極主義陣営」の構築を急ぎ、アメリカに対抗していった。そして、「100年に一度の大不況」が起こったのです。
● アメリカが衰退した理由1
=世界支配という、誇大妄想的で不可能な目標を追求したこと。