元TBSディレクターが語る、お化け番組「ザ・ベストテン」ヒットの理由

 

構成がまとまると、水曜には美術打合せと技術打合せ。 もちろん翌日は生放送ですから、その最終全体会議ともいえる総合打合せもあります。 結構忙しい。

木曜は、本番です。 朝のドライリハーサルからはじまってカメリハ、音合せ、中継場所との回線チェックなどが続き、あっと言う間に夕方です。 いよいよ司会の久米宏さんと黒柳徹子さんがTBS入り。 司会打合せを終えるとランスルーという通しリハーサルを行い、休憩をはさんで本番突入です。

本番が終わると反省会。 そのまま食事+飲み会に入り朝まで続くことも珍しくありませんでした。 金曜は翌週放送分の仕込み。 土日もデザイン打合せやビデオ取材が入り、月曜も引き続きスタンバイ日。 そうこうしている内に火曜日となり、夕方までスタンバイを続け、その後「ランキング会議」。 機械のように、このサイクルが果てしなく続いていました。

そんな日々のかなで山田さんが、ある時言っていた言葉が残っています。 「ベストテンはさあ、それまで音楽番組のプロデューサーが絶対に手放すことができない二つの権利を放棄したところから始まったんだ。 当然の常識を壊したんだな」

二つの権利とは「番組に出演する歌手を決める権利」そして「歌う順番(曲順)を決める権利」です。 確かにこれが無いと番組は成立しません。 ところがベストテンは、この二つの権利を市場に委ねるランキング方式を取り入れたのです。 誰が歌うのか、どういう順番で歌うのか。 番組はラジオリクエストやオリコンヒットチャートなど4つの要素から弾かれる数字に任せた訳です。 そうなると歌う歌手がスタジオに来れないということも発生します。 そこで、中継というテレビ的な手法を使ったわけです。 つまり即時性で、これがベストテンのヒットに繋がったと、私は思います。 歌手が、いま、どこで何をしているか、この全てがショーアップされた訳です。

当然の常識を壊したところからヒットした番組だった訳です。

自分も起業家として、当然の常識に囚われていないか?あらためて自問自答しています。

image by:  Shutterstock.com

 

ロサンゼルスで起業してしまったボクの本気メルマガ!』より一部抜粋

著者/海部正樹(米国法人WOWMAX MEDIA LLC代表 / プロデューサー)
政治家の二世なのですが、テレビディレクターやアニメプロデューサーになりました。親は嘆いたでしょう。しかも42歳で渡米、その後ロスで起業と来た日には、人生どう転がるかわかったものではありません。そんな私が異国で今日も体験している「海外の起業」と「海外での継業」を中心にいろいろ書かせて頂きます。それと「米国ローカルの時事ネタ」や「10年暮らしてわかる生活ネタ」もご紹介します。
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