コメダ珈琲店は、なぜこのタイミングで東証上場に踏み切ったのか

2016.06.02
by NozomiK
 

まとめ(戦略ショートストーリー)

地元の主婦や高齢者をターゲットに「地域密着長居大歓迎の文化」に支えられた「居心地がいい、長居できる」、「顧客密着の臨機応変な対応」という強みで差別化を実現しています。

気軽に入りやすい住宅地に出店し、リビングのような店内環境を整え、独自の人気メニューやお得な独自のプリペイドカードなどで、消費者の支持を得ています。

分析のポイント

「東証上場の意味(財務の基本)」

コメダは東証への上場が決まりましたが、東証上場の意味を整理してみます。

東証上場により、コメダにもたらされるものはいろいろありますが、最も大きなものは、「資金」です。つまり、上場するということは、「資金調達」という「財務面」への影響が最も大きいといえます。

「財務」について、少しご説明しますと、「財務」の基本要素は、下記のとおり3点あります。

  1. 何かに投資することの意思決定
  2. その投資に必要な資金をどう調達するかいう意思決定
  3. 調達した資金を活用した結果として得たお金をどう配分するかという意思決定

「財務」といえば、「資金調達」と思っている方が多いですが、「資金調達」は「財務」の一要素なのです。

コメダのケースで想定されるのはまず、新規出店(目標1,000店舗体制)に投資することを決めて、その次に、それを実現するために上場して資金調達することを決めて、今後、調達した資金を活用して得たお金をどう配分するかということを決めていくことになります。

また、「資金調達」するということは、投資家から資金を預かるということでもありますので、預かった資金を適切に使うことはもちろん、投資家が期待する収益をあげなければならないということでもあります。

さらに、お金を預かる責務として、事業がうまくいった、いっていないなどの経営成績やリスクに関する説明責任を果たさなければなりません。要するに資金調達したあとの責任は非常に重くプレッシャーも相当なものであるということです。

ここまで、上場による資金調達に関連して「財務」の基本的な話をしてきましたが、事業活動における「財務」の重要性について、認識いただければと思います。

そして、資金調達以外で、コメダが東証に上場することの大きな意味は、「安定したしっかりした企業」というイメージを得られることです。

コメダ珈琲店は99%がフランチャイズ店舗なのでオーナーを集めるにも安定した企業であるということは非常に重要となります。1,000店舗体制を実現するうえでも、オーナーの確保は必須となりますので、有効な打ち手であるといえるでしょう。

最後に、コメダの実質的なオーナーであるアジア系の投資ファンドにとっては、新規上場は投下した資金(買収額)を回収する絶好の機会になるということも補足しておきます。

image by: コメダ珈琲店 公式Facebook

 

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