なぜ日本ではドローンを利用したビジネスがここまで流行らないのか?

 

永江一石さんの回答

ドローンについてお二人からご質問をいただきましたので、同時に回答します。
最初に結論を申し上げますが、正直ビジネスとしては難しいと思いますね。まずドローンのマーケットがどこにあるのかから考えると、大きく分けて1つが「ドローン本体の販売」、もう一つが「ドローンを用いた撮影や測量など」でしょう。

ただ日本では航空法で人口密集地の上は飛ばせないし、150メートル以上の高度もとれません。30メートル未満の高度も違法です。

前者でよく知られているものにPHANTOMというシリーズがあります。

種類は様々ですが、イベントやお城の空撮用であれば約20万円で購入できるんです。それくらいなら一眼レフや高級コンデジと大差ないので、わざわざ外注するかという問題がありますね。

次に後者ですが、わたしも以前軍艦島の空撮DVDをクラウドファンディングで購入しました。ただ、それは無人島の空撮なので可能でしたが、人が大勢集まるイベントの撮影となると話は別です。2つのご質問に共通しますが、「エンタメ」「イベントのPV撮影」「結婚式のPV撮影」などの使用はほぼ不可能だと思いますね。なぜならドローンはどうしても墜落リスクが拭えないし、航空法でそもそも違法になります。

わたしも以前学校のPV撮影でドローンを使ったらどうかと思い、知り合いの学校関係者に打診したことがあるのですが、万が一墜落して生徒に当たる可能性を考えると難しいと言われました。また、わたしのクライアントのサーフィン用品販売店でもドローンを所持していますが、練習中に2度ほど墜落したことがあるそうです(人気のない河川敷の練習時に)。

アメリカなど海外ではドローン人気は高く、釣りに使ったりドローン同士をぶつけあって競うドローンバトルなど趣味での用途は多岐にわたっています。ただそれは人口密度が日本ほど高くなく、基本的に「何かあっても自己責任」という国柄があればこそであって、日本ではかなり難しいでしょう。

後は軍事利用や自衛隊の偵察などのニーズはあると思います。よく「ドローンといえば小型のラジコンヘリでしょ」という人がいますが、世界中で一番有名なドローンは米軍の偵察爆撃機ですよ。ドローンって実は今から約20年前から実用化されていて、最も初期に米軍に実戦配備されたのが「MQ-1 プレデター」です。ドローンの軍事利用について詳しくは以前ブログに書きましたのでご参照ください。

まとめると、いま世界のドローン市場の99%は軍事目的ですので、民事でビジネスとしてやるには市場が狭い。加えて、墜落リスクを考えた時に日本という国柄では場所の面でも心理的な面でも非常にハードルが高いだろうと思います。

image by: Shutterstock

 

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著者:永江 一石
商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。
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