この少子化で、なぜ「西松屋」だけが利益30%増にできたのか?

 

PB商品の強化と徹底したコスト削減が功を奏した

西松屋はPBプライベートブランドを強化していきました。PB商品が高い競争力を生み出しました。たとえば、10年に発売を開始したベビーカーの「バギーfan」や、15年に発売を開始した伸縮性が売りの「ストレッチパンツ」が大ヒットしました。従来の商品と比べて低価格での販売ですが、PB商品のため高い利益率を確保することができます。

コスト削減にも注力していきました。業務システムの見直しによる物流費の抑制、ITを活用した作業の省力化や合理化を行いました。店舗内でもコスト削減の痕跡を見ることができます。たとえば、高いところにある商品をお客が自ら手に取ることができるように「商品取り棒」を売り場の各所に置いています。セルフ販売を強化することで人件費を抑制しています。

PB商品の充実による粗利益の拡大と徹底したコスト削減により、低下していた利益を拡大させることに成功しました。12年2月期決算で50億円にまで落ち込んでいた経常利益は、16年には61億円にまで回復させることができました。そして、17年2月期第1四半期の経常利益は前年同期比で30.6%増となる大幅な利益の増加につながったのです。

最盛期には届いていないものの、利益面の改善の兆しは見えてきました。しかし、少子化の流れは止まりそうにありません。予断を許さない状況といえるでしょう。今後は、商品のさらなる付加価値の向上により、販売単価と客単価の向上が求められると考えられます。少子化によりターゲット層の人口が低下するのであれば、顧客一人当たりの購買価格を上げる必要があるからです。顧客とのロイヤルティの強化が必須といえるでしょう。

 

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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