機械が握る「寿司ロボット」は、寿司職人を殺すのか?

 

実は寿司アカデミー的なものは30年以上前からあり、わたしも物凄く前に取材に行ったことがあります。このビジネスモデルはどういった層をターゲットにしているかというと、回転寿司店を始める会社が社員を研修に出したり、海外に出店したい人向けでしょう。つまり、お客さんが寿司に高い品質を求めていないところではアカデミーに通うことである程度の経験を積めると思います。

ただ前述の通り、たった二ヶ月の講義では寿司職人の一番大切な要は学べません。すなわち、魚の目利き、仕入れです。魚の旬の時期や脂の乗り方、美味しい魚の見極め方は座学じゃ決して学べないんです。何年も掛けて市場で実際の目利きを学びます。2ヶ月じゃ魚の旬も、旬の味とほかの季節の味の違いも分からないですよね。

また高級寿司店では、プロの職人さんとカウンター越しに会話をするのも醍醐味ですので、そのためには魚に関する豊富な知識が必要です。二ヶ月限定の寿司アカデミーでは年間を通した魚の旬も学べませんので、何十年も修業を積んだ職人さんの経験値にはとても敵いませんよね。

一言でいえば、寿司アカデミーは単に機械と同等の技術を身に付けるには適していますが、それ以上のことは学べないというのがわたしの考えです。

極端な話をすると、単に魚をおろして寿司を握るだけなら、将来的にセンサーを備えたロボットが代行できるようになると思います。いまの回転寿司のロボットがおもちゃに見えるくらいのものはできるでしょう。しかし、卓越した技術の人間の握る本物の寿司はそれとは別の物だと思いますよ。

image by: Shutterstock

 

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著者:永江 一石
商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。
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