真田丸『第26話』裏解説。朝鮮出兵の裏で起きていた奥羽の反乱

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NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は秀吉が北条氏を倒した後の奥羽(東北地方)について。全国統一でようやく平穏な日々が訪れたと思ったら大間違い。奥羽では秀吉のやり方に不満を抱いた者たちの反乱が頻発していました。そのような状況に秀吉はどのように立ち向かったのか?詳しく見ていきましょう。

今回のワンポイント解説(7月3日)

第26回で描かれたのは、天正19年(1591)12月〜文禄2年(1593)8月にかけての時期。関白職を秀次に譲った秀吉が朝鮮出兵を開始(文禄の役)するので、ドラマの主要な舞台は大坂城と肥前名護屋城となった。こう見てくると、全国統一は完成し日本国内は平和が保たれていたように思ってしまうが、実際にはそう簡単ではなかった。特に奥羽(東北地方)にはさまざまな火種がくすぶっていたのだ。

そもそも、天正18年に秀吉が北条氏を滅ぼした時点で、奥羽は大名間戦争の最終局面と言ってよい状況にあった。そこへ秀吉が乗り込んで奥羽仕置き、つまり強制的な領土裁定を行ったのだから、火種が残らないわけはない。その結果、仙北一揆、大崎・葛西一揆、和賀・稗貫一揆、九戸政実の乱などの叛乱が頻発している。これらの一揆は、一方的な領土裁定を不満とした国衆・地侍層の蜂起だから、江戸時代の百姓一揆とはわけが違う。 

無論、秀吉だってそうした状況はわかっているから、伊達政宗から取りあげた会津に、蒲生氏郷を42万石の大封をもって入部させた(後に92万石!に加増)。これを、氏郷の才をねたんで中央から遠ざけたように言う人があるけれど、全くの間違い広大な領地の占領統治は力量のある者にゆだね敵に備えさせるのだ。これは、前回の家康の場合と同じといえる。

こんなふうに見てくると、秀吉による全国統一って力ずくで上からねじ伏せるようなものだったことがよくわかる。でも、武士というのは、そもそもが戦士階級だから、武家政権は軍事政権に他ならない。だとしたら、武家政権による平和が、上からの力ずくの平和になるのは理の当然といえる。武力によって達成される平和は、決してハッピーなものではないのだ。(西股総生)

今週のワンポイントイラスト

秀吉に臣従しつつも懲りない政宗。ずんだゴマスリの裏で国衆・地侍を煽る!(そして鎮圧される)(みかめ)

 

文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)

ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組

 

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