天皇陛下の「生前退位」スクープを新聞各紙はどう報じたか?

 

本筋は女性天皇?

【東京】は2面で5人の識者に話を聞いている。そのうち2人は《毎日》も話を聞いている半藤一利さんと原武史さん。あとの3人は所功(京都産業大学名誉教授・日本法制史)、河西秀哉(神戸女学院大学准教授・日本近現代史)、古川隆久(日本大学教授・日本近代史)の3方。

所氏は、「天皇、皇后両陛下とも高齢になった。そのことにご懸念を持たれていると漏れ聞いたことはある」とし、「将来にわたって天皇が象徴であり続けるために、元気なうちに議論が動き出さないといけないという非常に高度なご判断があったのだろう」と推測する。河西氏は「近代になって初めてのことであり、歴史的に大きな転換点になる」と指摘。「皇室典範を見直し、女系天皇の存在を認め、女性宮家にも象徴的な仕事をやってほしいとの気持ちをお持ちなのでは」と。

uttiiの眼

原武史さんの話は、実は超具体的。《毎日》は、何かを慮って文字にできなかったのかもしれない。《東京》の記事の中で、原さんはこんなことを言っている。

「皇太子さまの即位後は、皇位継承が秋篠宮さまと長男悠仁さまの順になり、天皇家に対し秋篠宮家の比重が高まる不安定な状況が生まれる。こうした事態に対する不安感が一因となり、明治以来の制度、仕組みを変える革命的な決断を下したのでは。」

原さんの言われる通りだとすると、「生前退位」の話の奥にはもう一つ大事な話があって、河西氏も言っていることだが、女性天皇女系天皇も認めるような制度の変更が求められていることになる。少なくとも、そこにつながるような、皇室典範の改正論を巻き起こそうということか。

「筆洗」について簡単に記す。天皇陛下は皇太子時代の75年、沖縄海洋博の機会に初めて沖縄を訪問、戦績に足を運ぶことを強く望んだという。宮内庁の反対にあい、沖縄学の泰斗、外間守善さんを招いて話を聞き、外間さんが「何が起こるかわかりませんから、ぜひ用心して下さい」と言うと、「何が起きても、受けます」と答えたという。そして実際、「ひめゆりの塔で火炎瓶を投げ付けられる事件が起きる。それでも天皇陛下は予定を変えず、戦跡を巡って祈りを捧げ続けたと。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

基になる情報が薄いのですが、それにしては各紙、特徴が大きく出てきたように思います。さて、東京都知事選が始まっています。色々な思いが交錯する選挙模様ですが、結果には大きな意味があると思います。どうなりますか…。

 

 

uttiiの電子版ウォッチ』2016/7/14号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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