もちろん馬券も売っている。今はインターネットで馬券を買えるようになり、2015年度の馬券売上げは146億円、入場者数も28万人と帯広では最高を更新したという。
ばんえい競馬は1946年に公営ギャンブルとして始まり、旭川や北見、岩見沢で開かれて、北海道を訪れる観光客には隠れファンも多かった。しかし中央の競馬ブームに押され、人気が落ち、40億円の赤字を抱え07年度からは帯広市だけの単独開催になっていた。ところが13年度から黒字に転じ、馬主、騎手、生産者への報奨金もふやし、蘇ってきたのだ。最近は引退したばん馬が親子を馬車に乗せたり、近くの農場の新鮮野菜を販売し、お茶やスイーツを楽しめる飲食店もある。むろん予想紙も売っている。
今やインターネット、ビッグデータなどの時代となる中で、人馬が汗をかき、700キロもの鉄そりを引いて競争する原始的な見せものだ。ダービー、オークス、有馬記念などの醍醐味も格別だが、ばんえい競馬を残しておいた感性にも拍手を送りたい。
(財界 2016年夏季第二特大号 第427回)
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