海外旅行で腹を下さないための予防策、医師がコッソリ教えます

 

抗菌薬は勧められない

では、予防のための薬剤はどうでしょうか。一般に、抗生物質はお勧めできません。副作用のリスクのほうが上回るからです。また、抗生物質の内服は重症化の可能性もある偽膜性腸炎のリスクもあります。

例外は、臓器移植後で免疫抑制剤内服中などの免疫不全患者などです。そのような病気を持つひとは担当医と相談したうえで抗菌薬の予防的内服を検討することも必要です。

下痢をきたす病原体向けのワクチンで勧められるのは腸チフス予防のワクチン接種です。これは、腸チフスの流行地である南アジアや東南アジアに渡航する場合には接種をお勧めします。

すでに発症した下痢に対しての治療には、脱水にならないように水分と電解質の摂取に努めましょう。ORSという医療機関で出される脱水補正専用飲料でもよいですが、手に入らないときは、フルーツジュースを水分で薄めたものでもよいでしょう。症状が持続する場合には、医療機関を受診し、便培養や検便検査などで原因病原体を特定して、必要な治療を受けることを勧めます。

文献

Barrett J, Brown M. Travellers’ diarrhoea. BMJ. 2016 Apr 19;353:i1937.

image by: Shutterstock.com:Kzenon

 

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