まとめ(戦略ショートストーリー)
働く女性をターゲットに「独自のレシピ」や「簡素化したオペレーション」、「サイゼリヤの仕入れ力・配送網」に支えられた『気軽に本格スパゲッティを楽しめる』という強みで差別化しています。
オープンキッチンで本格的な調理をしていることを訴求しつつ、低価格で14種類ものスパゲッティを展開(持ち帰りも可)することで顧客の支持を得ています。
■分析のポイント
「カニバリゼーション」
サイゼリヤは「スパゲッティ マリアーノ」を第二の柱に育ててく方針のようですが、既存のサイゼリヤと「スパゲッティ マリアーノ」の関係を考えてみましょう。
サイゼリヤでもスパゲッティは扱っていますし、安さを売りにしている点も共通しています。気になるのは、店舗の売り、メニュー、立地も近いとお互いの店が競合関係にならないのか、つまり、お客さんを取り合うこと(カニバリゼーション)にならないのかということです。そこで、重要となるのが、共通点がある一方で、異なる点もあることです。
まず、顧客ターゲットが異なります。「スパゲッティ マリアーノ」が働く女性をターゲットにしているのに対して、サイゼリヤは若年層やファミリー層をターゲットにしています。
ここがポイントです。つまり、いままでサイゼリヤでは取り込めていなかった顧客ターゲットをカバーすることが、「スパゲッティ マリアーノ」の役割といえそうです。既存のサイゼリヤの近くにも出店するのですから棲み分けができる(カニバリゼーションしない)と見込んでいるわけですね。
そして、顧客ターゲットが異なるからこそですが、「スパゲッティ マリアーノ」は持ち帰り需要を取り込むことに注力しています。例えば、提供の早さはもちろん、テイクアウト専用レジ設置やオリジナルのカップ型容器、席数の少なさなどは、その表れですね。
また、当たり前ですが、顧客ターゲットが異なるため競合もサイゼリヤとは異なります。持ち帰りに注力していることからわかるように「スパゲッティ マリアーノ」の競合はレストランよりもコンビニやファーストフードが想定されます。だからこそ、コンビニやファーストフードに対する差別化になるオープンキッチンで作るできたて本格スパゲッティという強みがあるわけです。
非常に整合性のとれた戦略となっていますね。
今後、「スパゲッティ マリアーノ」がサイゼリヤの第二の柱に成長していくのか注目していきたいです。
image by: Wikimedia Commons
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