もう限界だ。マイナス金利が招いた、これだけの異常事態

 

個人消費も低水準が続く

先日発表になったGDPは2四半期連続の減少個人消費も低水準が続いている。1世帯(2人以上)当たりの消費支出も5ヵ月連続で減少しており、日銀の思惑通りに進んでいない。ここ数日円安が進みだしたが、これはアメリカの利上げ観測を受けドルが買われているだけであり、日銀が思い描いたような円安にはなっていない。

マイナス金利を発表した頃(1月29日に発表)は1ドル118円台だったが、現在は102円前後と16円も円高になっている。日本トップの輸出企業では、1円の円高で営業利益が400億円も減少するといわれている。16円の円高の場合は「6,400億円もの損失が出たことになる。このことからもこの円安論理はうまくいっていないといえる。

超長期の社債発行ブーム

企業も損失を出すばかりではいけない為、新たな動きとして借り換えを行ない始めた。償還までの期間が10年以上にわたる超長期の社債の発行が相次いでいる。これまでは、長期の事業資金を要する電力や鉄道といった企業が社債を発行していたが、マイナス金利導入後は不動産や製薬など幅広い業種にわたる会社の社債の発行が拡大している。今年上半期(1~6月)の社債発行額は前年同期比で7%の増加となっている。

例えば、JR東海では20年物の普通社債100億円を新たに発行したことで、利払い金額が以前のものと比較すると15億円も減少している。これまで社債は事業資金として活用するための債務であった。しかしながら、今回の動きは金利の低い社債を発行し、これまで借りていた高い金利の債務を低い金利の債務に借り換えしているだけで、新たな設備投資に充当しているのではない。この現象からも日銀の想定とは違うといえる。

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