賃貸物件急増による影響も
さらに最近、投機を目的とした賃貸物件への不動産投資も増加している。低金利でお金を借り、賃貸物件に投資。東京五輪開催の影響による物件価格の上昇を待ち、売り抜けようという動きが徐々に増加してきている。8月30日の日経新聞には「貸家に投資マネーが流出している」という記事も出ており、このことからも本当の意味での企業投資の増加につながっていない。
これは、相続税の非課税枠の減税を利用した投機マネーで賃貸物件に富裕層が投資しはじめたことによるものだ。おカネがうごくというのはいいことなのかもしれないが、投機できる人だけが儲かり、格差が拡大する。さらに、バブルのような動きが出てくる可能性もある。さらに、投資が増加することにより空室率の増加という問題も発生する。実際に、賃貸物件の増加により家賃が下落傾向にあるという側面も出始めている。
保険料への波及
その他にも弊害があり、国債の利回り低下により企業の退職金や年金の運用もさらに厳しくなってくる。かんぽ生命では14%も保険料が引き上げされた商品があったり、日本生命の一時払いの終身保険を50歳の男性が500万円の保険金を受け取れる契約では、以前に比べ31万円も保険料が高くなった。
8月29日の東京新聞には「瀬戸際の黒田緩和」という記事が出ており、「日銀は追い込まれているのではないか、9月に金融緩和の総括をすると言っているが本当に総括をするのか」と書かれている。さらに本日付(8月30日)の日経新聞では「黒田総裁がひとり総括」と報じられ、「日銀内部の中でも本当にこれでよいのか副作用が大きいのではないか。」という問題が出てきているが、黒田総裁はさらに緩和を続けマイナス金利をさらに引き下げる可能性も示唆している。
日銀は9月に金融政策決定会合を実施する予定で、これから先をどう見通しているのかということに注目される。日銀内ではもう限界だという意見もある中、黒田総裁はさらに深掘りしようとしているようなので、この二つの意見が今後どのような動きをみせるかということにも注目が集まる。今後、更なるマイナス金利を進めた場合、銀行収益への影響が懸念される。そういう意味からも本当の総括をきちんとしたほうがよいと思われる。