例えば。それに付随する話かもしれませんが。
今、うちは20代の日本から来たインターンのコが多く在籍します。
その中のひとり、Aくんとしましょう。 24歳かな。 彼は口癖のように新聞社で働く、うちの社員を見て、
「僕はみなさんのように必死で働きたくないんっすよ~」と言います。
「みなさん、一生懸命働いてますけど、なんか寂しくないっすか? シゴトばっかの人生なんてヤなんすよね~♪ 」とニヤニヤしています。
もちろん、とても微笑ましく、 流行のファッションに身を包み、手首にジャラジャラ、アクセサリーをつけたその男の子のセリフを社員メンバーもニコニコ聞き流しています。
「やっぱ、人生、趣味っすよ! オレはシゴトだけで一生終りたくないんっすよ♪」
そればっかり云うので、ひとりの社員が「 Aくんの趣味はなんなの?」と聞くと
「休みの日はサーフィンやって、テクノ聴いてます」と誇らしげ(笑)。
「まぁ、僕みたいな異端児は、みなさんから見たら、一生懸命働けよ!って説教したくなると思うんすけど」と異端児ぶってるごくごく普通の好青年は続けます。
説教したくならないよ(笑)。普通のサラリーマンと違い、労働時間も長く、必死で時代の流れを変えようとしている、うちの社員が、まさか彼のところまで「階段を降りて」、シゴトとは何かを言い聞かせる、なんて「親切」なことはしません。
「ヘー、じゃあ、●●の海行った? マンハッタンから車で1時間行けるよ」とサーフィン好きのデザイナーの女のコが教えてあげると、彼は口ごもります。
「、、そこはまだ行ったことないんすけど」
続いて、大会名や、サーフィンの技の名前を言っても、彼はあまり知らない様子。
「ひょっとして、おかサーファー?」とそのデザイナーが笑うと、顔を真っ赤にして、否定します。
「テクノはどのアーティスト聴くの?」続いて、営業の音楽好きの社員が聴くと、彼はベタなアーティストの名前を2~3列挙します。 テクノに詳しくない僕でも知ってる名前です。
「じゃあ、●◎や●◯は聴く?」、営業のその質問に、また口ごもります。
「知らないの? 聴いてみたらいいよ」とYouTubeのアドレスを教えて、情報をやさしく提供してました。
「、、、、はい、、ありがとうございます、、」と彼は、うつむきました。
もちろん、とってもいい子だと思います。そして、そんな彼の言う「シゴトばっかりの人生なんてイヤなんですよ」というセリフも間違ってない。 その通りだとも思います。
でも、だからって彼のところまで降りて「趣味より、シゴトの方が大切だぞ」なんて言うつもりもない。 申し訳ないけど、僕たちの「シゴト」と、彼のなんちゃって「趣味」を対等にぶつけるつもりもない。
とんでもなく忙しいうちの社員の生活の100のうち、90がシゴトであるとするならば。 彼の生活の90を占める趣味なんて、うちの社員の残りの10の趣味で凌駕する。
おまえの言ってる「人生かけてる趣味」なんて、うちの社員の「隙間の趣味」にも届かない。
「シゴトの方が大切! なんて古いですよ」と若いコが言うのならば、「そんなこと、ひとことも言ってないよ(笑)」と笑います。
シゴトの隙間でやる僕たちの趣味は、シゴトを放棄したおまえの趣味よりクオリティー高いだけだよ(笑)。
やっぱり、めいいっぱい働いて、働いて、働いてるヤツの方が、絶対、趣味を楽しんでる気がします。
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『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋
著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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