そして、この問題が発覚後、言われていたさまざまな問題点は、ぱたっと報道が止まってしまいましたが、少しでも改善する方向に進むのでしょうか。
ディベロッパーができるだけ早く資金回収するために工事を急がせるため、工期が短すぎること(今回の杭工法も、この地盤には適していないけど、工期が早いと言うことで採用されたと言われています)。
元請けがしっかり現場を監督していないこと(現場監督は現場を見ないで、パソコンに向かっていることが多いと聞きます)。
下請けが何の仕事もしないで、工程管理や現場の安全確保という名目でお金を抜き、実務は全て孫請けに任せきりという構造。
与えられた工期と予算では、杭打ちのデータをすべてそろえるのは無理だという現場の本音。
このケースでは、旭化成建材の管理者が、杭の到達点の地盤の強度だけでなく、補強用のセメント量のデータまで改ざんしていたと大きく報道されました。本人はそれを認めていないという報道でしたが、結局、何がこのような偽装を生んだのか、私たちは真相をよく知らされていません。
どう考えても、マンションを造って販売するという一連の仕組みの中に多くの問題を含んでいて、それを根本から解決しないと、安全なマンションを供給するという当たり前のことが当たり前にならないと感じずにはいられません。
ということは、私たちが安全な住まいを手にできないということです。建築物の施工に対する信頼性が揺れるという意味では、マンションに限ったことではありませんが、施主(工事の発注者)と実際に所有者となる者が異なる分譲マンションは、一番、施工精度が軽視されやすいのです。