北朝鮮は、なぜ制裁でもサバイバルしているの?
北朝鮮が核実験を行うたび、国連安保理が開かれる。日本、アメリカ、韓国が議論を主導する。そして、中国、ロシアも「嫌々ながら」制裁に賛成する。しかし、金正恩は、平然と生き残っています。なぜなのでしょうか?
実をいうと、中国が(中国らしく)、国連の制裁を破っているからなのです。だから、北朝鮮は、安保理が制裁を決めても、何とかなっている。
中国は4月以降、前回の安保理決議を受けた制裁を実施しているが、貿易統計によれば、北朝鮮の主要輸出品である石炭、鉄鉱石の中国への輸出量に目立った落ち込みは見られない。
北朝鮮関係筋も「平壌の物価は安定しており、制裁の影響はほとんどない」と指摘しており、中国が制裁を厳格に履行しているかには疑問符が付く。
(時事通信9月9日)
なぜ中国は、金正恩を守るのか?
日本ではよく、「中国も北の核実験に怒っている」と報道されています。それは事実なのでしょう。
しかし、その怒りは、日本、韓国、アメリカとは別の質の怒りです。というのは、北朝鮮が核で攻撃する可能性があるのは、韓国、日本、アメリカ。一方、北朝鮮が中国を核攻撃するなど、ありえません。だから、中国の怒りというのは、「俺の言うことを聞かない」レベルの怒りなのです。
そして、中国が金正恩を守らなければならない理由がある。中国にとっての悪夢は、朝鮮半島が韓国中心で統一され、米軍が、北と中国の国境までやってくること。だから、習近平は金正恩を嫌っていても、制裁を破って、支援し続けなければならない。
第2次朝鮮戦争はあるか?
「それでも中国が北朝鮮を守っている」
このことは、「戦争抑止力」になっています。アメリカは戦争好き。今世紀に入ってわずか16年で、
- アフガニスタン
- イラク
- リビア
- シリア(IS空爆)
と戦争している。しかし、北朝鮮がどんなに横暴なことをしても、戦争には「および腰」ですね。なぜでしょうか?
1つ目の理由は、いうまでもなく北朝鮮が「核兵器を保有しているから」です。アメリカにはまだ届きませんが、韓国を核攻撃することはできる(もちろん、北自身も放射能被害を受けますが、自分=金正恩が殺されるかの瀬戸際で、何をするか想定できません)。ひょっとしたら日本も核攻撃できるかもしれない。そして、後5年もすると、「アメリカまで核搭載ミサイルを飛ばせるようになる」と言われています。
もう1つの理由は、中国です。
第2次朝鮮戦争が勃発した。中国が北朝鮮の側について、米軍、韓国軍と戦うのではないか? 1950~53年の朝鮮戦争は、そんな構図でした。中国が北朝鮮に大軍を送ったので、アメリカ、韓国軍は勝てず「引き分け」に終わったのです。アメリカも、中国とは戦争したくない。
というわけで、金正恩が、いくら暴れても
- 国連制裁は、中国が違反して北支援をつづけるので効果限定
- アメリカは、核保有国の北、中国の支援を受ける北と戦いたくない
というわけで、「現状維持のまま進む」可能性が高い。