「日韓は核武装せよ」。米国の論文から見える「冷酷な事実」とは

 

第二が、ハッタリの重要性です。

紹介したこの論文では、「日本(と韓国)に核武装をさせろ」とは言っておりますが、「核戦争をしろとは言っておりません。むしろそこで主張されているのは、いざ日韓が計画を本気で進め始めたら(というか、そのモーションを見せれば)、中国はマズイと気づいて北の崩壊を進めるはずだ、ということです。

もちろんこれは(ルトワック的にいえば)中国側がどう感じるかという「反応」的な部分もあるので、中国が北朝鮮崩壊を本気で始めるかどうかは微妙です。また、これに気づいた北が、日本や韓国でテロ活動を始める、というリスクもあるでしょう。

それでも政治家は、時として国際的な舞台でハッタリをかますことが必須となります。そしてそれを本当に必要なタイミングで必要な形で言えるのかが勝負です。古代ギリシャの哲人アリストテレスは、政治家に最も求められるべきものは「勇気」であると説いております。そしてこの要素が最も発揮されるのは、このような(核武装をするという)「ハッタリが必要になってくる瞬間なのです。

もちろん日本は必ずしも核武装をする必要はありません。ただしその「脅しを使う覚悟は絶対に必要です。その覚悟に必要なのが、政治家の勇気」なのです。

第三が、クラウゼヴィッツの説く「重心」です。

たとえば今回の核武装論文では、まず北朝鮮の核拡散や北東アジアの不安定の最大の要因は北朝鮮であるので、その政権を崩壊させることが重要だ、という目標が掲げられます。

ところがその目標の達成の最大のカギを握っているのが中国の存在。そしてこの中国が一番嫌がることで、しかも周辺で脅威を受けている国々にとっても合理的な解の一つである核武装を近隣の日本と韓国にさせろ、ということを述べているのです。

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