元「旅行読売」編集長が苦言。旅館の仲居さん教育に物申す!

 

お客さんに直接接するのはやはり仲居さんであって、我々がマスコミだから間違った情報が間違いであると指摘できるだけで、一般宿泊客には、その仲居さんの思い込みで間違った情報が伝えられて、ハイそれまでよ、なのだ。

宿の責任者は、自分の宿で働いている仲居さんの誰に聞いても、必ず同じ、正しい宿関係の情報を発信できるように教育すべきだと思う。 それを怠って、間違いがあるといけないから事前に記事をチェックさせろ、というのは、何となく本末転倒と言うか、ものの道理の順番が違う気がするのだ。

まあ、仲居さんの人間性にもよるのかもしれないが、従業員教育というのは旅の業界でも欠かせないものだと思う。 しっかりした宿は、やっぱり、そのあたりからきちんとしているものだ。

宿の歴史、温泉の泉質、加温や加水などの提供状況、料理内容、その素材、季節感など、仲居さんも勉強すべきことはたくさんある。

広報の担当者がいくらマスコミに力説しても、記事にできるのはその一部。仲居さんにきちんと勉強してもらえば、すべての客に正しい情報、魅力を伝えることができる。

京都の名宿『柊屋』の仲居頭を務めた田口八重さんは、取締役や女将代理も歴任し、接客業として初めての黄綬褒章も受章している。 あの三島由紀夫も切腹の直前に柊屋に泊まって、八重さんに声をかけている。

しょせん仲居さんでしょ、などと侮るなかれ。

本人の努力次第では、仲居さんだって勲章がもらえる世の中である。そういう仲居さんを育てるのも、宿の経営者の大きな役割だと思う。

 image by: shutterstock

 

『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
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