2.の 自分の対応を変えることについて。怒っている客は、ただ、怒りをぶつけたいだけなので、どんなに一生懸命対応しても、納得したり感謝されることはありません。怒っている相手にも日頃のストレスや、行き場のない怒りが、あるんだなぁと考え、発散できていないことを、憐れんでください。
理不尽な申し出や怒りに対しては、たまたま自分に矛先が向いてしまったと、すっぱりあきらめて、適当に対応しましょう。
1.の対応ができていて、相手の怒りをさらにあおるような態度さえしなければ、ボイスレコーダーや監視カメラで守られます。逆に、仕事なんだからなんとかなだめないととか、怒りを鎮めてもらうのが自分の職務だとか考えると、どんどんストレスが溜まってしまいます。この車掌さんのように、自分でも思わぬ行動をとってしまうと、命の危険性だってあるわけです。
なお、わたしは、自分が行っているクレーム対応を、会社や組織が肯定せず、反対に、客側にまわることを、「後ろから撃たれる」と言っています。もし、自分の行動が正しいにもかかわらず、会社や組織に「後ろから撃たれ」て、暴力を肯定するような態度をとられた場合は、使用者の安全配慮義務違反です。労働基準監督署や、ご自宅近所の役所、または、会社・事業所の、監督官庁へ相談してください。
なお、この相談の際も、明確な証拠は役に立ちます。ボイスレコーダーは、スマホアプリでもいいですが、業務時間中にスマホを持てない場合は、ソニー製でも6,000円弱で買えます。電話対応で、すべての会話が録音されている場合を除き、クレーム対応が発生する可能性のある仕事なら、仕事中はつけっぱなしにしておけば、少しは安心できますね。何もなければ、その日の音声データは消去すればいいだけです。また、個人商店などを営業されている場合は、最長160時間録画できる防犯カメラが、4,000円弱で買えます。
何度も理不尽な要求を繰り返すクレーマーに対しては、防犯カメラの画像や音声データを理由に、店内に入れない。店内に入れてしまった場合でも、即座に退去を求めましょう。
「恐れ入りますが、お客さまの過去の言動によって、円滑な商取引がいたしかねますので、このまま速やかにお引き取りください」
このように、「あなたの言動が理由」で「円滑な取引ができない」から、「出て行ってほしい」ことを伝えます。それでも出ていかない場合や、暴言を繰り返す場合は、不退去や、威力業務妨害に当たることを伝えて、躊躇せずに警察を呼びましょう。
仕事は大切ですが、たかが仕事です。自分の心の健康より、ましてや命よりも大切な仕事なんて、絶対にありません。もし、同じような件で悩んでいる、読者の方がいらっしゃったら、ご遠慮なくメールをください。わたしでよければお話を伺います。そして、ケガをされた近鉄奈良線の車掌さんの、一日も早い快復を、心からお祈りしております。
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