「いじめ防止対策推進法」制定のきっかけになった、大津いじめ自殺事件から5年が経過しました。しかし、無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』によると、その法が施行されても今なおいじめで命を落とす子供が多いといいます。原因として、その現場である学校がなかなか変われない、という現実があるようです。
大津いじめ自殺事件から5年
10月11日は、大津市の中学2年の男子生徒が学校でいじめを受け、自宅マンションから飛び降りて自殺した日から5年目に当たります。「いじめ防止対策推進法」制定のきっかけになった事件でもあり、もう5年も経ってしまったのかという感じさえします。
報道によると、当日、生徒が通っていた中学校では全校集会が開かれ、校長が、自分の命を大切にする気持ちを忘れないようにと呼びかけました。このあと全員で黙とうし、生徒たちが「命」をテーマにした詩やメッセージなどを発表しました。また、市役所では、越直美市長や桶谷守教育長、市と教育委員会の職員らが黙とうし「二度と繰り返さないために、事件を風化させない」と再発防止を誓いました。
しかし、文部科学省の発表では、いじめが原因で命を落としたとみられる小中高生らは、大津市の事件があった11年度と翌12年度が計10人。「いじめ防止対策推進法」ができた13年度と翌14年度は計14人。これでは「いじめ防止対策推進法」が「救い」となっているとはとても言い難い状況です。
大津いじめ事件の父親(51)も市役所内で記者会見し、「今でもいじめで命を落とす子どもは多い。いじめ防止対策推進法が予防になっているとはいえない状況だ」と述べました。
「長崎、山形、岩手…。(いじめ自殺があった)各地に入ったが、教育現場の意識は変わっていない」
「自殺や不登校の理由をいじめと関連付けたくない意識が学校側には今も残る」
「推進法の趣旨に反する学校や教委が現実に存在する」
「『(法が定めた取り組みを)してもしなくても良い』と認識している学校もある」
と教育現場に対する憤りをあらわにし、「同じような悲劇が後を絶たず、当時から何も変わっていない。息子が命がけで作った推進法が、本当に子どもたちの命を助けられるようになるまで訴え続けていく」と力を込めました。