2度目のシリア停戦崩壊と、米ロ対立
9月9日、アメリカとロシアは、2度目の「シリア停戦」で合意します。9月12日、停戦合意が発効しました。ところが9月17日、事件が起こります。
<シリア誤爆>米露の確執、拡大必至 国連で非難応酬
毎日新聞9月18日(日)22時46分配信
【ニューヨーク会川晴之、モスクワ真野森作】
内戦が続くシリアの東部デリゾールで17日、米国主導の有志国連合による誤爆とみられる攻撃でシリア軍が60人以上死亡する事件が起きた。今後、シリアのアサド政権を支援するロシアと、その排除を目指す米国の確執が強まるのは確実だ。
12日に停戦が始まったばかりのシリアの和平を目指す取り組みは、再び岐路に立たされた。
アメリカの空爆で、ロシアが支援するアサド軍の兵士が60人以上死んだ。アメリカは、「誤爆だ」と説明しましたが、ロシア側はこれを信じていない。カーター国防長官が、「停戦をぶち壊すために、わざとやらせた」というのが、ロシアの見方です。
「ヴェスティ ニデーリ」によると、アメリカ国防総省は、シリア内戦の継続とアサド政権打倒を目指している。アメリカ国務省のケリーさんは、「反アサド派が体制を立て直す時間を稼ぐためにウソをついている」。つまり、カーター国防長官が、ケリー国務長官をあやつっていると。
私の見方は違います。
オバマとケリーさんは、中国問題に集中するために、シリア内戦を終わらせたい。それで、ロシアと共に和平を推進する。ところが、国防総省は、和平に反対している。国防総省はオバマの意志に反しているが、レームダック・オバマは動けない。
9月19日、アサドは「停戦終了」を宣言します。
アサド政権軍、「停戦終了」を宣言 アレッポで空爆再開
朝日新聞デジタル9月20日(火)12時56分配信
シリアのアサド政権軍は19日、米国とロシアの仲介による合意で今月12日に発効した停戦が終了したと宣言する声明を発表した。反体制派も停戦が守られていないとアサド政権を批判した。
北部アレッポで政権軍かロシア軍によるとみられる空爆が行われた模様で、死傷者が出たとみられる。
停戦が完全に崩壊すれば2度目となり、内戦終結へ向けた和平協議の再開は一層困難になると予想される。
1週間の短い停戦でした。ここからアメリカとロシアの「和解ムード」は、急速に変化していきます。国連安保理は、米ロの「非難合戦」の場と化した。
ロシア、国連でのシリア緊急会合めぐり英米に反発
AFP=時事9月26日(月)20時28分配信
【AFP=時事】戦闘が再燃しているシリア情勢をめぐる国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会合で、シリアで「蛮行」と戦争犯罪を行っているとしてロシアを非難した米国と英国に対し、ロシア側は26日、強く反発した。
10月3日、アメリカは「ロシアとの停戦協議をやめる」と発表します。
米、シリア停戦協議中止 「ロシアが約束守らず」
朝日新聞デジタル10月4日(火)13時45分配信
事実上停戦が崩壊しているシリア内戦を巡り、米国務省は3日、ロシアとの停戦に向けた協議を中止すると発表した。米ロが仲介した停戦は今年2月に続いて再度、名実ともに失敗に終わった。