アメリカとの対立を激化させるロシア
ここから、ロシアは、あらゆる面で強硬になっていきます。
まずプーチンは10月3日、「余剰プルトニウムの処分に関する米国との合意」を停止する大統領令を出した。
<ロシア>米との合意停止 余剰プルトニウム処分で
毎日新聞10月4日(火)12時43分配信
【モスクワ杉尾直哉、ワシントン会川晴之】ロシアのプーチン大統領は3日、米露の核軍縮合意により生じた余剰プルトニウムの処分に関する米国との合意を停止する大統領令を出した。「米国の非友好的な行動の結果、状況が根本から変化した」としている。
「米国の非友好的な行動の結果、状況が根本から変化した」
この「非友好的な行動」とはなんでしょうか?
プーチン氏は3日、米露合意を破棄する法案を露下院に提出した。提出理由として、米側が余剰プルトニウムを発電で消費せず、合意に違反して「貯蔵」しようとしていると指摘。さらに、米国による
- 東欧・バルト3国の軍備強化
- ウクライナ問題を巡る対露制裁
- ロシア国内の人権侵害に対して米国が制裁を科す「マグニツキー法」(12年成立)
――などを列挙した。
(同上)
恐ろしいのは、プーチンが、「状況が『根本から』変化した」と言っていること。ロシア国営テレビRTRの「ヴェスティ・ニデーリ」は、「アメリカでは、プランBが検討されている」と報じています。
「プランB」とは何でしょうか? 米軍が、直接アサド軍を攻撃し、アサド政権を打倒すると。イラクと同じパターンですね。そうなると、アサドを支援している、「ロシア軍とも戦争になる」のではないでしょうか????
司会者のキシリョフさんは、
- アメリカ軍がアサド軍を攻める
- ロシア軍は、アサド軍側についてアメリカ軍と戦う
こういう可能性があると断言します。10月4日、クリミアのセヴァストーポリから、3隻の軍艦が出港しました。キシリョフさんは、「プランBに備えて」と断言。つまり、「アメリカ軍と戦うため」ということ。続いてロシアは、シリアに地対空ミサイル「S300」を配備します。
ロシア、シリアに最新鋭の地対空ミサイル配備
読売新聞10月5日(水)22時56分配信
【モスクワ=花田吉雄】インターファクス通信によると、ロシア国防省は4日、シリア国内のロシア海軍の補給拠点がある北西部タルトゥスの海軍基地に最新鋭の地対空ミサイル「S300」を配備したと発表した。露国防省報道官は声明で「海軍基地の防衛のためで、脅威となるものではない」としている。
一方、米国防総省のクック報道官は4日の記者会見で、ロシアが掃討対象としているイスラム過激派組織が航空戦力を保持していないとして、「何が目的なのか疑問を持たざるを得ない」と疑念を示した。
アメリカからは、「反アサド派は、航空戦力をもっていない」「なぜS300を配備するのか?」と当然の疑問が出ています。
これ、キシリョフさんによると、「アメリカが、アサド軍を攻撃しようとしているから」、つまり、「アメリカがアサド軍を空爆したら、撃ち落とすぞ!」と警告している。要するに、「ロシアは、アサドを守るためにアメリカ軍と戦う用意があるぞ!」と脅している。
10月9日、国連安保理は、アレッポ上空の軍用機飛行禁止と空爆停止を求める決議案を採決し、ロシアは拒否権を行使しました。
安保理、シリア空爆停止否決 露が拒否権行使
産経新聞10月10日(月)7時55分配信
【ニューヨーク=上塚真由】国連安全保障理事会は8日、シリア北部アレッポ上空の軍用機飛行禁止と空爆停止を求める決議案を採決し、常任理事国のロシアが拒否権を行使して否決された。
シリア情勢をめぐっては、アサド政権軍の後ろ盾となるロシアと、反体制派を支援する米国の対立が激化しており、安保理の機能不全も深刻化している。
空爆しているのは、ロシアが支持するアサド軍ですから。
そして、10日、ロシアはシリアの海軍基地を「恒久化する」と発表します。
シリア海軍基地を恒久化=ミサイルなど搬入─ロシア
時事通信10月10日(月)22時45分配信
【モスクワ時事】タス通信によると、ロシア国防省高官は10日、地中海沿岸のシリア西部タルトゥスに恒久的なロシア海軍基地を設置する方針を明らかにした。