アマゾンの自爆。「読み放題」から無断削除で、巨額賠償の可能性も

 

通常、大手出版社であれば契約内容をチェックする法務部門があるでしょうし、自由に配信停止ができないようにする条項を設けておくのは契約におけるイロハだとも思われます。

配信の停止にあたっては契約当事者の合意が必要」というような規定であれば、一方的な配信停止はアマゾン側の契約における義務違反を構成し、「本来配信が継続していたら得られたであろう利益」を損害賠償請求できる可能性があります(民法415条など参照)。例えば、講談社で言えば、1,000を超す電子書籍類が一気に配信停止となったわけですから、損害額も大きくなります。これが、複数の出版社にわたって生じている事態ですから、巨額の損害賠償となりかねません。

もっとも、損害賠償請求ができるとしても、「今後もアマゾン経由での配信による利益を得たい」と考えた場合、キンドルクラスのプラットフォームがない状況下では、「おつきあいの可能性が残る商売相手」に訴訟手続きは避けたいもの。それゆえの「抗議」をした上で、訴訟手続とはせずに交渉を継続という対応としたとの予想もし得ます。簡単に言えば、アマゾンがバイイングパワーにものを言わせて殿様商売を押し通しているという状況です。

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